6話 ページ18
一方で、かえちゃんはみんなから離れて、静かに海を眺めている時間が多かった。乗る前はあんなに賑やかだったのに。
私はかえちゃんのそばに寄って、ちょっと寂しそうに見えるその横顔を見上げた。
何かあったの？
｢ニャア〜｣
かえちゃんの視線がゆっくりと私に向けられた。
｢なんだあんたか。･･････暇なんだったらネズミでもとってくれば？｣
｢ニャー！｣
出来ません、出来ません！ それだけは絶対出来ません！
｢フフ、嘘よ。ネズミ嫌いなんだってね。動物全部と仲悪いってほんと？｣
全種類と出会ったことがないのでそれはわからないけど、多分、勘の鋭い動物とは全部ダメなんじゃないかなぁ。
｢･･････あんたも生きにくい世界にいるのね｣
ドキッとした。
気持ちを分かってくれて凄く嬉しいけれど、あんたもって言われたことが引っ掛かった。
･･･････かえちゃんも生きにくいの？
｢ニャーン･･････｣
私が切なくなったら、かえちゃんはそれを鼻で笑った。
｢なにその鳴き声。気でも遣ってるの？ 気持ちの悪い。 ･･･････猫なら猫らしく我関せずで自由気ままに過ごしなさいよ。自分勝手にさ、我が儘し放題でさ、適当にさ｣
毒舌なんだけど、私はそれが悪い意味には聞こえなかった。
心配しなくていいよって聞こえたの。
｢ニャーン｣
私はかえちゃんの座ってる隣に腰を下ろして丸くなって伏せた。
｢ちょっと･･････居座らないでよ。図々しいわねぇ｣
言いながら、私の背中をそっと撫でてくれた。
ほらやっぱり、かえちゃんは悪い人じゃない。智君のお気に入りだもんね？
｢あんたの飼い主も図々しい子よ。･･････私なんてこんな見た目で、こんな性格でしょ。相手するだけ面倒なのに、かあちゃん、かあちゃんって。落ち込んでる時ほど絡んで来るのよ？ ･･･････今日もそう。反対にこっちが元気だとひとっ言も話しかけて来ないのよ。下船時に｢あ、いたの？｣とか普通に言うのよ。頭おかしいんじゃない？ こんなデカイ身体なのにさ、気がつかないわけないじゃない｣
かえちゃんの言葉には愛があった。
かえちゃんは智君のこと、とても良く思ってくれているんだね･････。
何があったの？ どうして落ち込んでるの？
･････私では力になれない？
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ao(プロフ) - keiさん» kei様はじめまして。ようこそお越し下さいました。数日中に移行出来ると思うので、待っててくださいね。私も書きながら癒されてます。コメントのおかげでまた頑張れそうです。ありがとうございました。 (2019年9月7日 9時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoさん、はじめまして。素敵なお話をありがとうございます。このお話のねこちゃんと大野さんに癒されて、ドキドキして、何回も読み返してます。更新を楽しみにまっています。 (2019年9月3日 17時) (レス) id: a6dd3c2537 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー！本当に彼は魔性ですね･･･。魅力の塊です。酔わされちゃいますね。でも翔君もほんと凄い人で。あらためて、奇跡の五人に感動中です。 (2019年9月3日 6時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - こんにちは〜久しぶりの更新に読む前からドキドキしてました（笑）aoさんと同じ様に本来なら私も翔くんタイプに恋する人間なので共感から笑っちゃいました、反対に智くんがそれを凌駕する魅力的な人って事でもあるので大野智は魔性ですね(笑)次回も楽しみにしてます！ (2019年9月2日 15時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - blue3104さん» blue3104様こんにちはー！私は皆さんのコメントに癒しをいただいています。夏の終わりは疲れが出がちですから、どうぞご自愛くださいませ。お話読んで、癒されてくださいませ。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年8月10日 9時
