37 迷いのリフレイン ページ1
旅行二日目。釣りから帰ってきたらもう夕方で、釣ってきた魚を女将さんに渡した後、今日は大浴場の方に行ってみようっていう話になって、二人で浴衣に着替えて向かったの。
ここの旅館は浴衣もおろしたてみたいにパリッとしていて、おーちゃんはダークグレー、私は薄紫色で、このまま花火大会に出掛けても変じゃない生地とデザインだった。
ダークグレーの絣のゆかたを着て歩くおーちゃんは、猫背でも惚れ惚れするくらいかっこ良かった。
広めに開いた胸元で揺れるペンダントが更にカッコ良さを演出している。
締まった細い筋肉質な体つきは、帯で絞められた腰の辺りからもよくわかった。
時折覗く、無駄な肉の一つもないふくらはぎも、美しいの一言。
･･････かっこよくてドキドキしちゃう。
ああ、何度おーちゃんに惚れ直しちゃうんだろう。
おーちゃんがきょとんとして言った。
｢あっち？｣
広すぎて浴場の場所がわからなくなっちゃった私達。
｢こっちかなぁ？｣
私が、おーちゃんが見ているのと反対方向を指差したら、あっさりそっちに行こうとするから思わずその手首を掴んで止めた。
素直過ぎるよ！
｢違うかも！ これはただの私の勘だからね!?｣
｢･･････とりあえず行ってみりゃあいいじゃん｣
｢え、私のこっちに？｣
｢どっちでもいいよ。決めて？｣
そう言われると迷っちゃう。
欠伸をしながら私が決めるのを待っているおーちゃんは、立ち姿はかっこいいんだけど何にも考えてなさそうな様子がなんだか幼稚園の子の様な無垢さで、それを見ていると庇護欲がムクムクと湧いて来た。
私がこの人を無事に浴場まで届けなければ！
俄然やる気を出した私はあちこち周囲を見回した。何か看板がないかと思って。
でも何にもなくて困っていたら、廊下の大きな窓から庭園を眺めていたおーちゃんが振り返って言った。
｢二手に別れる？｣
一瞬いい考えだと思ったけど、それだと再び合流できるか謎だった。
第一こんなかわいい子を置いてどこかに行けない！攫われる！
｢ダメダメダメ！｣
思いっきり否定して、私はおーちゃんを連れて、自分が最初に思った道を信じ、気合いを入れてそっちに突き進んだんだけど、５分後には元の場所に戻っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 938人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - ぐちこさん» ぐちこ様コメントありがとうございます〜。優しいお話は私の目指すところで、そこを感じ取ってくれて凄く嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。頑張ります！ (2019年3月14日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ぐちこ(プロフ) - こんばんは！お話をお見かけして、優しいお話に次々と読み進めてしまいました☆穏やかな主人公さんに、やさしいおーちゃん。また、主人公ちゃんを取り巻くやさしいいつメン☆温かな気持ちにさせてくれるお話をありがとうございます。これかも、楽しみにしています♪ (2019年3月13日 0時) (レス) id: d58eef616e (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちはー。お仕事大変そうですね。ここで癒せるならばたくさん癒してくださいね。私も頑張ります。確かにみんないい男ですよね。たまには悪い男でも出してみようかな。結局5人以外の男になりそうですけど(笑)。 (2019年3月11日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ao様 年度末の忙しさに癒してもらっております。こんなできる男達は見たことありません(//∇//)言葉のチョイスが素敵です！ (2019年3月8日 20時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - マコトさん» マコト様共感いただけて凄く嬉しいです。幸せです。ほんとに何度見ても飽きませんよね。見る度発見します重箱の隅をつつくように見てます。それでも感心するし飽きません。また是非遊びに来てくださいね〜！ (2019年3月7日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお
| 作成日時：2019年2月23日 17時
