10話 ページ10
髭を剃り終えたおーちゃんは、髪をスプレーで濡らして櫛で梳きだした。
手早く簡単に終える。
｢おーちゃん、ドライヤーで髪のセットしないの？｣
｢今日は学校だけだし｣
｢だけって、学校に行くから整えるんじゃないの？｣
じゃあ、おーちゃんがお洒落する時っていったいいつなんだろう。バイトの時は向こうでスタッフがセットしてくれてるらしいけど。
宝の持ち腐れだよ？
････腐ってはないか。水で梳かしただけのサラサラヘアも十分素敵だから。イケメンって、本当お得だなぁ。
そこまで考えて、はっとした。
私、まだパジャマだし、顔も洗ってない！
彼氏の方がちゃんとしてるって、女としてそれってどうなの!?
名残惜しかったけど、おーちゃんの腰に抱き着くのをやめた。
｢おーちゃん、私、家に帰るね？ もう仕事に行く準備しなきゃ｣
｢おぅ｣
おーちゃんの口角が上がってる。
追求から免れて、ほっとしてる？
話がまだ途中なんだけどなーって思いながら、でも仕事に遅れたくなかったから、仕方なく玄関に向かったら、おーちゃんが着いてきて見送ってくれた。
｢んじゃ、後で昼飯食いに行くわ｣
｢うん｣
じーっとおーちゃんを見つめていたら、嫌な顔をされた。
｢Aちゃん、顔が煩い｣
｢顔が煩い!?｣
それ彼女に言う言葉かな!?
絶対後で聞き出すんだからって意気込んでたら、くすっと笑ったおーちゃんが身を屈めて唇にキスしてくれた。
玄関だからいつもより身長差がある私達。なんだか気分が違う。
･･････勢いが削がれちゃった。なんだかキスで丸め込まれちゃった感じ。
･････でもキスしてくれて、凄く嬉しい。
｢じゃあね、おーちゃん｣
くすぐったい気持ちでパタンとドアを閉めて、でも思わず溜息を着く。
･････経験があるって、どんな経験？
でも絶対おーちゃんは話してくれないだろうな。
あーあ。
･････ま、いっか。
私はますます謎の深まる恋人を想って、小さく吹き出した。
｢智君が昔、女王様を趣旨替えさせたことあるってマジで!? かっけぇ！｣
おーちゃんへの追求を諦めたその翌日、翔君の店に用事があって顔を出したら、いきなり応接室にひっぱり込まれて、興奮気味の翔君にキラキラした目でそう言われ、私はなんと返事をしたものか目を白黒させた。
頭のいい翔君は、私と違っておーちゃんから真相を聞き出すのに成功したらしい。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちは。主人公ちゃんいい子なんで、たまに黒くしよう黒くしようとしてるんですが、なかなか染まってくれません。恋人が素敵だからでしょうか。私も青色さんに綺麗な色にしてもらいたいです！ (2019年2月26日 16時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - もちろん、こちらも拝読致しております！主人公ちゃんの清く芯のある人柄が凄く素敵ですねー！こちらも見習う事が多々ありまーす。感謝の気持ちって、ホント大事ですよね。 (2019年2月25日 18時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - わー、cocoro様コメント嬉しいです。お元気でしたか。何度も読み返したくなるようなお話を頑張って作るので、是非遊びに来てくださいね。一緒に楽しみましょう！萌えてくださーい。 (2019年2月25日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさん、お久しぶりです。またこの子達に会えて嬉しいです。私はこれからも、いやもしかしたらこれまで以上にここに糖分補給に立ち寄るであろうと思われます(笑)。また一緒に楽しませてください。 (2019年2月24日 20時) (レス) id: 8d2a7d356c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2019年2月19日 20時
