31 戸惑い ページ31
翔君は素敵な人だ。それに憎くて別れたわけじゃない。恋人に戻った姿に悪いイメージもない。やり直そうと思えばできなくはなかった。
･････ただ、翔君は将来院長になる人で、それを考えた時、私には荷が重いとしか思えなかった。
大学時代は翔君のことがただ好きで、周りは玉の輿だと邪推する人だらけだったけど、私は家が大病院だとかそんなことどうでもよくて、ただ翔君と一緒にいたいだけだった。好きだから、どんなことでも耐えられると思っていた。
･･････けれど今はそうはいかない。一度離れてしまったから、まず先に後継ぎ問題のことを考えてしまう。恋愛は二の次だ。
でも、傷ついている翔君にそのことを告げるのは酷過ぎた。
｢考えてくれる？｣
私は今、智のことが気になっている。惹かれている。でも、智には小百合さんがいるのだから、付き合えない。
私は迷って、頷いた。
｢翔君、でも私･･････｣
言いかけた言葉は手の平で塞がれた。
手を取って立ち上がらされる。
翔君は元気を取り戻したように嬉しそうに笑ってた。
｢言いたいことはわかるよ。でも俺、今最高にハッピーだから、あんまり負の要素は聞かせないで。･････Aとなら一緒に闘っていけると思ってる。本当は、苦労はさせない、俺について来いって言ってやりたいけど、それより俺はAに、一緒に並んで、俺を助ける存在になって欲しいんだ。･･････一緒に闘ってくれないか。俺も全力でAを助ける。Aのために闘うよ。命だって惜しくない｣
｢翔君･･････｣
腰を引き寄せられる。
胸を押したけど、あんまり力が入らない。
･･････さっきの翔君の言葉が結構胸に響いちゃったみたい。
｢翔君、だめよ。ここ、病院だから･･････｣
｢わかってる。でも俺ん家でもあるよ｣
｢･････院長子息の立場を利用してない？｣
｢それだけの迷惑は被ってきた。これくらいの役得がなきゃやってらんない。･･････でも念のために言うけど、病院で誰かに手を出したことは一回もないよ｣
｢今出してるよ？｣
｢･･････Aがこんな色っぽいのが悪い｣
抱きしめられて、首筋に唇がくっついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 735人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - あゆねさん» あゆね様ありがとうございます！私も羨ましいです。こんな元彼がいたらいい思い出作れそうです。頑張ります。感謝です。当分 (2018年11月15日 14時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
あゆね - このお話がとても好きで、毎日読んでいます！主人公ちゃんがほんとに羨ましいですね(笑)これからもaoさんのペースでがんばってください！応援してます！ (2018年11月12日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様、読んでいただけて感謝です。二人に挟まれて羨ましい限りです。今後もご期待下さいませ！ (2018年11月11日 7時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 今日も続きが読めて嬉しいです！翔くん出てきたー！と思ったらかなりグイグイでキャー！です。智ってば寝てる場合じゃないのにー！とニタニタしておりますよ（笑） (2018年11月10日 20時) (レス) id: 5a2a163833 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様コメントありがとうございます〜！新作も萌えを追求していますので、是非ご一緒にときめいて下さい。気に入ってくださるといいのですが。ありがとうございます！ (2018年11月8日 20時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ao
| 作成日時：2018年11月1日 14時
