俺と新参兵と、本当のこと 1 ページ32
「…知って、た…?」
俺は絞りだすように呟く。
「うん」
驚く俺に対し、ふぶさんはあっけらかんとした顔で頷いた。
「最初からじゃないんだけどね。ほら、ナノと一緒に訓練室で射撃やってた時あったでしょ? あの時きっくんに俺呼び出されて、先に出た時に、ね。その時、事情聞いた」
俺は黙りこんで、ふぶさんの服をぎゅっと握りしめる。
ふぶさんが俺の背をやんわりと撫でてくれた。
「まさかあんなに酷いと思ってなくて、ナノとちょっと離れたくらいじゃ大丈夫だろうって思ってた。でも、そうも行かなかった」
「…結構、ぐいぐい来る人もいますから」
「うん。だから、思わず喧嘩売るみたいな事もしちゃったけど」
あはは、と苦笑を浮かべたふぶさんは、俺の髪をくしゃりと掻き混ぜた。
きっくんに頼まれた事は、と言って、ふぶさんが手を広げる。
「1つ、msspの戦力として実力を十分に発揮すること。
2つ、一般部隊に対しての対応は十二分に気をつけること。
3つ、ナノをまっすぐに信じること」
俺はふぶさんが口にした事に、少しばかり失望した。
頼まれた、と言うその事実が、俺に影を落とす。
けれど、ふぶさんはそれを快活に笑って吹き飛ばした。
「でもね、断った! まぁ、1つ目とか2つ目はさすがに頷いたけど、3つ目はね。断ったよ、俺」
「…え」
「だって、言われずとも信じてたから」
やや照れたような表情で言うふぶさんに、俺は少しばかり戸惑う。
「で、でも。まだあの時は本当に会ったばかりで。俺はふぶさんの事…」
「うん。でも、俺と射撃訓練してた時にさ、ナノがすっごく素直に褒めてくれて。警戒されてるだけで、凄く素直な人だって分かったから。それに……」
「…それに?」
「しょ、正直な事言うとね、…ひ…ぼれだし…」
「……はい? あの、聞こえないんですが」
「い、いいよききょえにゃくひぇ!ww」
「……聞こえなくて、ですか?」
「う、うん…ww」
とにかくさ、とふぶさんが少し俺から身体を離して、俺の手をやんわりととった。
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長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時