俺と新参兵と、msspと戦場 1 ページ26
更衣室から出た俺は、未だ、2日前にふぶさんに言われた事を飲み込めずにいた。
もう戦場が目の前に迫っているというのに、未だ俺はそれで悩んでいる。
「大丈夫、シィナノルト」
「…きっくん…。……へいきですよ」
「戦場じゃ教育係なんて気にしなくていいから。無理しないでね」
「わかってますよ。…大丈夫です」
だめだ。ちゃんとしなくちゃ。
腕につけた腕章は、msspの副隊長としての証だ。
俺が、ここにあるべき姿を指し示すものだ。
俺1人のミスで、隊を危険には晒せない。
「……行きます」
剣帯にしまったナイフ、腰に差したバタフライナイフの感覚を確かめつつ、俺は踏み出した。
「えおさん、そっち行きました」
「んっ」
壁を背にしたまま、俺はナイフを構え走りだす。
すれ違いざまに的の喉をかっさばきながら、逃してしまった敵の事をえおさんに促した。
軽く跳躍、敵の銃弾が飛び交う。ナイフで叩き落とす。片足は地面に着地、そのまま前に足を滑るように出して、投擲ナイフを掴み、投げた。命中。地面に落ちる塊には目もくれず、先へ進む。
『隊長が進みすぎてる、ナノ、援護に…!』
俺の通信機に入った声。ふぶさんも軍兵だ。いまは割り切っているのだろう。
“通常通り”、俺に通信をくれる。
「了解です、ふぶさん」
俺とえおさんは左右に展開していたのだが、さすがにサポートに回らないとまずいか。
地面に爆薬を仕掛け、方向転換。えおさんの進行方向へ急ぐ。足音が聞こえた。
「爆破」
『あいあいっ』
きっくんの陽気な声が通信機越しに聞こえる。後ろで爆破音が響き、断末魔が聞こえる。
それを無視して進み、俺はきっくんに問うた。
「きっくん、えおさんは」
『1階下にいるよ!』
「分かりました」
直線の道を進み、軽く跳躍。窓をナイフで割り、1階下へ飛び降りる。
地面に着地、踏み出す。目の前に敵。振りかざされたナイフを躱し、あいた手で手首を掴み捻り上げ、仕留めた。
「…ふぶさん、そこからえおさんの様子は見えますか」
『…ん、みえりゅ…ww 見える、よww』
「じゃあ、えおさんのサポートの方を中心にお願いします」
『オーケェイ、了解っ』
サイレンサーが付いているのか、音は聞こえてこない。
だが、現在の進行方向から聞こえるうめき声が、スナイプが働いている事が分かる。
道の突き当りを曲がり、その姿を見つけた。
83人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時