逆転 ページ10
P*suKEの予想はあたった。
すでに<ミハイル>の主導権が西軍の他のオペレータへ回され、P*suKEの制御下にない。
「まずいわ。あれはわたしがあなたをサポートするために色々注文つけてあるから、それこそあれだけで通常の軍隊なら壊滅できるレベルの超高性能の射撃衛星よ。このままじゃ、兄さん達の軍が危ない」
「…わかってる。だけど、あの人達は手一杯だな…」
俺は無事な手でふぶさんのスナイパーライフルを握り、構えた。
「撃ち落とすしかないな」
「そうね。異論はないわ。……でも、その腕で支えきれるの?」
「お前は俺の耳あてつけてろ。射撃音は耳に悪い」
P*suKEが俺の耳あてを取り、自身の耳につけた。
利き手をやられたが、多少の誤差だ。問題はない。
引き金をひいた。放たれた銃弾は一直線に衛星へ迫り、衛星の通信部品を破壊する。
「さすがね、シィナノルト。…いえ、ナノ、って呼んだ方がいいのかしら?」
「どっちでもいいよ」
P*suKEに言葉を返した俺は、ハッとして叫ぶ。
「強化兵だ、あろまさん!」
「っ!」
あろまさんに向けて一直線で走る巨体。直に見るのは初めてだ。
「西の強化兵…!」
「あろま、下がって!」
えおさんがあろまさんを後退させ、蹴りを放つ。
だが、物ともしない大きな隻腕を振りかざし、えおさんを突き飛ばした。
「っく…!」
「クソが…っ!」
飛ばされた先にいた兵に叩き伏せられ、えおさんが地面に伏せた。
あろまさんは強化兵に押さえつけられて身動きが取れない。
「あろま、えおえお!」
「ふぶさん、後ろッ」
ふぶさんが対応する前に武器を弾かれ、後退する。
きっくんと並び、俺の少し前へ後退してきた。
「くそ、…どうする、きっくん」
「ちょっとまって、いま考えてる」
こんな状態でも、諦める気はないのか。
(……それはそうか。この人達だし)
俺もどうすれば助けられるか思考を巡らせる。
ふぶさんは遠距離で、俺ときっくんが前線に出れば、なんとかなるかもしれない。
だが、2人同時に助け出すには、どうあがいても…
(…そういえば、Fは)
Fの姿が先程から見えない。
「…F…?」
小さく呟いた時、瓦礫の上からそれが見えた。
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長閑(プロフ) - 夏煌さん» 読んできただきありがとうございます!初期愛称の「ナノ」を日本での単位にすると「塵」でして、その名前を呼んでくれるmsspと、愛称としてつけてくれたふぶさんへの敬愛の意味でございます。…そんなに…深い意味は…ない(;´∀`)ハハッ← (2015年2月15日 16時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
夏煌(プロフ) - 全て読ませていただきました!質問なのですが主人公が使っている塵とはどんな意味があるのでしょうか?理解力なくてすいません(>_<) (2015年2月8日 23時) (レス) id: 185900a38c (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 2度目の完結おめです!! 次回作、楽しみにしてます! (2015年1月17日 18時) (レス) id: 426cfae2bb (このIDを非表示/違反報告)
麗琥−りく−(プロフ) - 完結おめでとうございます!!楽しく読ませてもらいました!!次回作も読ませていただきます!! (2015年1月17日 16時) (レス) id: 76a46eac77 (このIDを非表示/違反報告)
翼羽 - 完結おめでとうございます!とても面白くて最後までいっきに読んでしまいました。msspと軍パロは大好きでしたのでニヤニヤしながら読んでました(笑)でも最後はすごく感動させられて涙ボロボロ流してました;;次回作も頑張ってください!応援してます! (2015年1月12日 14時) (レス) id: 1b255c9260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2014年12月29日 22時