背を預ける side きっくん ページ17
「あー! ふぶ<ミハイル>に乗ってるー!」
俺がそう言うと、嬉しそうなふぶの声が返ってきた。
『へへへ、いいでしょー』
「言ってねぇで数減らせや刺すぞ!」
『ひ、酷い!』
いつも通りのやりとりだな、と思いながら敵を減らしていく。
俺が使っているのはチェーンソーだ。機械兵の方が相手にするなら向いている。
『謁見の間までもう少しよ。…ただ…、前にFがいる』
その言葉に、全員が一瞬息を飲んだ。
俺がどうしようかと思考を巡らせながら武器を振るっていると、えおえおが沈黙を破る。
「やるなら、俺が相手する。…あいつは、俺みたいなものだから」
「えおえお…大丈夫なの?」
「ん、まぁね」
戦うなら、戦わないとでしょ?
そう言って、えおえおは俺を見る。
敵の波が緩んだ。ふぶのスナイプが敵軍に穴を開ける。
そこへ入り込む。
「ふぶ、来い!」
『あいあいさー!』
<ミハイル>から降り、ふぶがこちらへ走ってくるのをサポートしながら、重厚な扉の前まで進む。
扉の前には、武器を構えて立つFがいた。
「……F」
えおえおが戦闘態勢をとかないまま視線を向けると、前で番人のように立っていたFが、身体を逸らした。
「…ナノは、中だ」
「……F? どういう…」
「通路監視の兵は2人。現在ここにいる敵兵も、20人程度。他は、多方向へ向かわせている。ここに警備はおれ1人」
Fの言葉に、俺達が言葉を詰まらせた。
つまりFは……俺たちを裏切っていない?
わざと敵軍をここから遠ざけるために、西軍へ?
「早く行ってやれ。ここはおれが引き受ける」
「…Fは…」
「いいから行け。ナノには、あんたらが必要だ」
そう言って俺たちを通り過ぎ、西軍と対峙するFの背に視線を向けた。
俺はポケットから予備の通信機を取り出して、Fに渡す。
「P*suKEに、サポートもらって。…みんなで帰るよ」
「……あぁ」
頷き、構えたFに背を預け、俺達は扉を開けた。
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長閑(プロフ) - 夏煌さん» 読んできただきありがとうございます!初期愛称の「ナノ」を日本での単位にすると「塵」でして、その名前を呼んでくれるmsspと、愛称としてつけてくれたふぶさんへの敬愛の意味でございます。…そんなに…深い意味は…ない(;´∀`)ハハッ← (2015年2月15日 16時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
夏煌(プロフ) - 全て読ませていただきました!質問なのですが主人公が使っている塵とはどんな意味があるのでしょうか?理解力なくてすいません(>_<) (2015年2月8日 23時) (レス) id: 185900a38c (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 2度目の完結おめです!! 次回作、楽しみにしてます! (2015年1月17日 18時) (レス) id: 426cfae2bb (このIDを非表示/違反報告)
麗琥−りく−(プロフ) - 完結おめでとうございます!!楽しく読ませてもらいました!!次回作も読ませていただきます!! (2015年1月17日 16時) (レス) id: 76a46eac77 (このIDを非表示/違反報告)
翼羽 - 完結おめでとうございます!とても面白くて最後までいっきに読んでしまいました。msspと軍パロは大好きでしたのでニヤニヤしながら読んでました(笑)でも最後はすごく感動させられて涙ボロボロ流してました;;次回作も頑張ってください!応援してます! (2015年1月12日 14時) (レス) id: 1b255c9260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2014年12月29日 22時