【ＭＳＳＰ軍パロ】赤狼舞踏・光華【男主】

始動　　ｓｉｄｅ　えおえお ページ15

通路を走りながら、あろまが声をかけてきた。
「動きがかてぇぞ、えおえお」
「ん、悪い」
　記憶の中にこの通路の存在は薄いが、漂ってくる薬品のにおいは覚えている。
　それが体中の筋肉をこわばらせて、動きを阻害する。
「いざって時に動けねぇと、困るだろ」
「わかってる」
『えおえお、あろま、ストップ！ 後衛と離れすぎ』
　先行している俺とあろまに通信をしてきたのはきっくんで、きっくんは俺達とふぶの間にいる。
　壁に背を預けて身を潜めながら、敵の存在を確認する。
「すでにいるな」
「…どうする、きっくん」
『まだ派手にはやりたくない。ふぶのスナイプじゃ音が反響しちゃうから、接近して一撃でしとめて』
「了解」
　前方に２人。俺は先に手前にいた男の首をナイフでかききって、その少し前にいた男をあろまが仕留めた。
　ごとんと鈍い音がして、塊が床に落ちる。
「Ｐ*suKE、まだ見つからないか」
『兄さん、急かさないで。……独房にいないことは確認済みよ。ただ、何処にいるかはまだ確認中』
「そう…、じゃあきっくんとふぶを待つべきだな。その間に頼む」
『えおえおも人使いが荒いこと』
　くすくすと笑ったＰ*suKEの声を聞きながら、俺はダガーを手の中で回して動作を確認する。
(大丈夫だ、行ける)
　もうこわばりはない。一度乗ってしまえばすぐだ。あとは、攻めるだけ。
「おまたせ、２人とも！」
「遅れてごめん！」
「おせーべや、ふぶこのデブ！」
「い、言い方酷い！」
「まぁまぁそうカッカしない、あろま。焦ってるのはわかるけど」
　ふぶの肩を軽く叩きながら励まして、俺は「じゃあ」と呟く。
「きっくん見通しは？ Ｐ*suKE、２人の居場所は確認できた？」
『えぇ、できてるわ。両方とも謁見の間にいるわ。これはいよいよ本当に正面突破しかないわ』
「そっか…よし、じゃあえおえおとあろまが先行して、俺とふぶが後ろからついていくから。向かってくる敵兵に容赦はいらない。仕留めていくよ」
「了解」
「分かった」
「オーケィ！」
　もう少しだ。もう少しで、ナノとＦに会える。

突破　　ｓｉｄｅ　あろま→←奪還作戦、開始　　ｓｉｄｅ　ＦＢ

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