F:運が悪いのか、良いのか。 ※F 『赤狼』 ページ2
「ふん、ふん」
思わず鼻歌がもれる。
いつもの様に歌詞をつけて歌っていないだけマシだという顔であろまは俺を見ていた。
「何機嫌いいだよ?」
そういえば話し合いの最中だった。
隣にいたえおえお隊長が怪訝な顔で俺を見てた。異様に機嫌の良い俺を、気味が悪いとでも言いたげな表情。それに緩みきった顔で、俺は答える。
「いや、さっきこっちに来る前に寄り道してたんだけど」
東軍駐屯所の近くに子どもの遊び場にもなる湖がある。そう言った遊び場のないこの国で重宝されている場所だが、今日は珍しく賑わっていなかった。
その代わり、1人だけいたのだ。水泳をしていたらしく、俺に気づいて肩越しに俺を見た姿は綺麗だった。
一瞬女性かと思い慌てて視線を逸らしたが、聞こえた笑い声は少し高めの男声。男性なのだと気づき視線を戻した訳だが、やはり綺麗で。肩につく程度の紅の髪、柔和に細められた紫の眼。
たぶんあの容姿を見る限りでは西国出身だろう。東国に亡命してきた人だろうかとは思ったが、初対面で根掘り葉掘り聞くのもどうかと軽く挨拶をして別れた。
「それにしても綺麗だったな、あの人」
「FB…、お前ってヤツは…」
「え? 俺なんか悪い事した?」
呆れきった眼で俺を見るあろま。きっくんは派手に笑う。えおえおに至っては興味もないと遠い目。三者三様でいいけど、酷くねお前ら。
「お前マジ…それさぁ」
あろまが口を開こうとすれば、扉が控えめにノックされた。
真っ先に立ち上がったのはきっくんで、扉の外へ。
「…それでも、あぁいう人はあんまり戦場では会いたくないな」
綺麗なままでとか言うつもりないけど、平和に暮らしていてほしい。
……戦場とかでつらい思いをするのは、軍人だけでいい。
「みんな! 来たぞ!」
新しい仲間だ!
そう言ったきっくんの後ろにいた人物に、俺は目を瞠る。
あぁ、全く。こういう時神様って意地悪だ。
「…あ、さっきの」
俺を見た紅が、「さっきぶりです」と柔らかく笑った。
こんな展開よくあるけどさ、本の中じゃ。
この時ばかりは、主人公の気持ちだって分かるよ。
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そういう雰囲気で出会った新参兵さんと赤狼さん
本人達に他意はない
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長閑(プロフ) - 芋木姉さん» いつもありがとうございます。どうか気長にお付き合い下さい。読んでくださってありがとうございました! (2015年11月7日 19時) (レス) id: 92e94bc51d (このIDを非表示/違反報告)
芋木姉(プロフ) - こちらこそ楽しい小説をありがとうございます。ちなみに、IDは変わっていますが、本物のゼリー体です苦笑 (2015年11月4日 23時) (レス) id: b8ed3af9ec (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 芋木姉さん» 更新が停滞しているにも関わらず、ありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。読んでくださってありがとうございました。 (2015年11月4日 0時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
芋木姉(プロフ) - お久しぶりです。元ゼリー体です。ハロウィンネタ大好きなので、隣人きたときテンション上がりましたw白桜も楽しみにしています。 (2015年11月2日 23時) (レス) id: b8ed3af9ec (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ゼリー体さん» 毎度更新が遅くてすみません、『隣人』更新しました。ご期待に添えていれば幸いです。リクエストありがとうございました! (2015年8月12日 2時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2015年5月26日 1時