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『先輩が俺のお義兄さんになるの超ヤなんすけど〜〜〜!!』
「そ こ か よ !!」
 思わず腹から声が出た。
『そこっすよ!! 一番気にするのはそこすよ!? 俺絶対いびられるヤツじゃん〜〜! 小姑にいじめられるか弱い人になっちゃう〜〜〜!!』
「逆も嫌だけど逆だろ逆!! つかお前俺ん家来る将来設計してんのかよ結婚しろ!!」
『そこだけは先輩に言われたくねぇ〜〜〜!!』
「余計なお世話だカス!!」
 とにかく行くからよろしくなァ!! と吐き捨てて通話を切った。昔からだけど弥太郎との電話疲れる。アイツの論点不明すぎしんどい。
 ハァ、と息を吐き出して部屋の隅に積まれていた出しっぱなしの冬ぶとんに沈み込む。ホコリ臭い。アイツ絶対冬ぶとん退けてそのままにしてんだろ。
 沈み込んだままボーッとしていると、部屋の扉がノックされる。軽く声を返せば、控え目に扉が開いた。
「あろまさん?」
「…ナギか。どうした」
「いや…、あの、やたろがごねたかな〜って、思いまして」
「意外にもごねてはねぇけど…、まぁ軽くディスられた」
「あらまぁ」
 そう小さく零し、にひひ、と笑みを浮かべると「じゃあ」と手を合わせた。
「あろまさんと一緒に出かけられますね」
「…まぁな。ダメとは言われてねぇし」
「ですね! …そういえば」
「ん?」
「さっき、『お前俺ん家来る将来設計してんのか』って言ってましたけど…結婚の予定でも…?」
「……お前そこは聞いてたのかよ……」
「丸聞こえでしたけど…」
 マジかよ後できっくん達に死ぬ程ネタにされるヤツ。ナギは少し考えたような様子を見せてから、スマホで時間を確認する。
「…その辺はプライベートな話なんで、良いんですけどね。…そろそろお時間なんで、お暇いたす〜〜」
 少しのいつもと違う表情は、すぐにいつもの表情に消される。
(あぁ、くそ)
 絶対勘違いしてる。おれが言わないのも悪いけど、鈍感過ぎるコイツも問題だろ。絶対。
 おれ的にはとか、気分はとか、誘ったつもりだとか、そんなふうに言ってたらこの朴念仁にはいつまで経っても伝わらない。
 だったら、もう全部かなぐり捨ててやる。
 くだらないプライドだとか、気恥ずかしさだとか、そんなんにこだわっててなにが変わるんだ。
 変わってほしいなら、まずおれが変わるしか無い。進むしか無い。
 くるりとおれに背を向けて部屋を出ようとするナギの手を掴み、おれは息を吸い込んだ。

その鈍感さはたぶん罪に値する。たぶん。→←5



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月羅(プロフ) - 連コメ失礼します。設定も、私とおんなじ感じでとても世界に入りやすかったです! (2015年7月19日 9時) (レス) id: 0b360647bd (このIDを非表示/違反報告)
月羅(プロフ) - 初め、女主を女王と読んでしまいましたw 面白かったです!更新待ってます!! (2015年7月19日 9時) (レス) id: 0b360647bd (このIDを非表示/違反報告)
ベリル(プロフ) - すごく面白いです!これからも更新楽しみにしてます! (2015年5月10日 21時) (レス) id: 475b9ca86a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2015年5月10日 21時

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