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「先生!」
「お前頭打ったのか」
「イエス。ドアさんと喧嘩した。いつものことだけど強いよねドア。私もドアみたいになりたい」
「お前はドアより強くなってどうする気なんだ???」
「『ここは俺に任せて先にいけ…っ!』ってできる人間になりたい」
「その場面一生来ないな」
「マジレスかなしい」
 泣き真似をしたコイツを軽くあしらい、弁当に手を付けた。
「しょうがないじゃんね。ぴーすけは捕まらないし幡野先生探してたら階段から落ちたし」
「落ちたぁ!?」
「そしてそこからの華麗なる着地」
「怪我してから来いカス」
「気をつけろの一言も貰えない私を深い悲しみが襲う」
「気をつけろカス」
「う〜〜〜んさすが幡野先生」
 感慨深そうに言いながら、なに食わぬ顔でソファに腰掛けたコイツが、話題のJK。
 神子柴渚。それがコイツの名前である。
 妹の友達で、結構仲良くしている事から割とよく話すようになった。
 きっかけは家に来た事。どんな運命の悪戯か知らないがおれが家にいて即エンカウント。
 本当神様は何を考えているというのか。
「で? 高校3年にもなってデコで扉に喧嘩売るバカは何をしに来た?」
「あ、そうだった。これこれ」
 ポケットからかなり小さく、雑に折りたたまれた髪を渡され、おれはややうんざりとしながらそれを受け取った。
「もっと綺麗に折れや。…あぁ、今度の保健委員会議の」
「そでーす。体育のさ…名前忘れた、あのセンセが幡野先生に渡しとけって、顎で使われた。自分行かないのは怠慢だと思う。タイマンは許すけど怠慢は許さんぞよ」
「何だその言い草は。おれに会うのは不服かコラ」
「顎で使われた事が不服なんです〜〜〜先生に会うのは全然嫌じゃないで〜〜〜す」
 ナギが不満げに伸びをした。悪いがおれの内心でクラッカーが弾けた。これだけ悪態吐いて嫌じゃないって言われるのは本当に奇跡だと思うわ。器が広いというべきか無頓着というべきかは定かじゃないが。
 平常心を装いながら弁当を食べ進めていると、ナギのスマホが鳴り出す。一応保健室で教員のおれの眼の前なんですけど。
「…あ!」
 パッと表情が変わる。あぁ、これは容易に想像ができた。
「もしもし! こちら幡野先生前神子柴渚ですぞ!!」
 なんだそのこ○亀みたいな。あとですぞってなんだ。
 嬉しそうな表情で話し続けたナギ。…つか、おれが何より厄介だと思っているのは。
「了解、FBさん!」
 コイツがFBを大好きだってことだ。

3→←厄介な相手ですわ、ホント



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月羅(プロフ) - 連コメ失礼します。設定も、私とおんなじ感じでとても世界に入りやすかったです! (2015年7月19日 9時) (レス) id: 0b360647bd (このIDを非表示/違反報告)
月羅(プロフ) - 初め、女主を女王と読んでしまいましたw 面白かったです!更新待ってます!! (2015年7月19日 9時) (レス) id: 0b360647bd (このIDを非表示/違反報告)
ベリル(プロフ) - すごく面白いです!これからも更新楽しみにしてます! (2015年5月10日 21時) (レス) id: 475b9ca86a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2015年5月10日 21時

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