よんじゅー ページ9
No side
その後、しばらくしてドリフェス制度ができた。
fineはたくさんのドリフェスに参加した。
今日もまた、ドリフェスにてアイドルと競い合う。
『なぁ英智。今日は誰とやるんだよ、俺まだ教えてもらってねぇぞ。』
英智「会ってからのお楽しみだよ。」
英智の返答にしっくりこないAだが、袖で待機していると懐かしい声が聞こえた。
「今日はあの天祥院とやり合うのだからね、失敗は許さないよ。」
「わ、わかってるでお師さん。」
「……(うなずく)」
『………!』
英智の背中の向こうにある反対側の袖の中を見ると、
『宗、みか、なずな………!?』
英智「あーもう少し遅く気づいてほしかったなぁ」
『っどういうことだよ英智!あいつらにはなんもしねぇんじゃねぇのかよ!!』
英智「うん言ったよ。"まだ"何もしないってね。」
『俺を騙したのか!?っあいつらとやり合うくらいなら今日のライブには出ねぇからな!』
英智「それは困るなぁ。たくさんのファンが君を待っているんだよ?それに契約したじゃないか。」
『………っ』
英智「君のだけは特別さ。最後の大舞台だけでなく、全ての舞台に僕と一緒に立つ。そういう内容だったよね?」
『ああそうだったな。………お前、何かしたら本当に許さないからな。』
英智「はいはい。」
その後行われたライブはボロボロだった。
Valkyrieのパフォーマンスの途中に音響が故障し、
歌声を録音したものがぷつりと止まってしまった。
みかやなずな、宗で力を合わせ、何とか歌いきったものの、
踊りながら歌うことに慣れていない3人、
それは酷いものだった。
そして、当たり前のようにfineが勝利した。
『英智!お前は絶対許さない!この契約が終わったら全部の借りを返す!覚悟しとけ!!』
英智「怖いなぁ……でも君一人で何ができるんだい?劣等生で、問題児の稲葉A?」
『それは………っ「お師さん!」っ宗!?』
英智「さぁ、帰ったらレッスンをしよう。これからの大舞台に備えて。」
英智に背中を押され舞台袖から出ていく。
振り返ったAは静かに口を開く。
全てを諦め、今はただ従うという意思の籠った、色の消えた眼で。
『………………………ああ。』
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