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コンビニ袋を片手に下げて、事務所へと向かう朝。
袋の中でりんごジュースと缶珈琲が音を立てて揺れている。
りんごジュースは私ので。珈琲は、龍友さんの。
ありがと、って言って笑う彼の顔が頭にずっと浮かんでいる。
早く、会いたい。
マフラーに埋めた口元がクイッと上がるのが自分でもわかる。
『おはようございま、』
頭をふわふわと浮かせて来たのに、一気に重くなった感じだ。
どうしてこうも上手くいかないんだろうなあ。
ドアの前で突っ立っていた私は、そっと視線を外して忍び足で楽屋の奥の奥、隅の隅へと行った。
相変わらず賑やかな楽屋なのに、龍友さんと篠田さんは2人だけの世界に溺れているように見えた。
上げて落とされる、そんな朝だ。
コンビニ袋の中を見て溜息を吐く。
重たい足を引きずるように中務さんの元へ行って、りんごジュースを手渡した。
『これ、良かったらどうぞ』
中務「ええの?」
『中務さん、りんごジュース好きだったよなあって』
中務「...っちょ、っと待って」
胡座をかいてスマホを操作していた中務さんにそう言うと、体育座りをして顔を伏せてしまった。
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裕太くんとの絡み...(にたにた)
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みん(プロフ) - 素晴らしい文章力で、引き込まれます!ありがとうございます! (2019年5月20日 9時) (レス) id: f912ed750b (このIDを非表示/違反報告)
ARM26(プロフ) - すごく好きです…!こんなに引き込まれて一気に読んだのは初めてです!これから続編読むのですが楽しみ半分、終わりに近づいてる寂しさ半分…終わりまで楽しませていただきます! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 6024ec169a (このIDを非表示/違反報告)
GENE love - 葵子さん» 賞味期限2も読ませてもらいました! ほんまに泣きました。 ほんまに体験してるみたいな気分になって切なくなって感動です! 頑張ってください! (2019年1月13日 20時) (レス) id: 1e4df9a365 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。(プロフ) - 愛故にを読んでるとき号泣してたので、ハンカチ用意しときます。真顔 (2019年1月13日 14時) (レス) id: 52e976e0eb (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 釈迦で~す推し。さん» これからもっと切なく......(;Д;)(;Д;)← (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年11月25日 18時