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7冊目 ページ7

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昼休みが終わると、それ以降その日のうちに(人1)と会話をする事は無かった。

短い短い恋人期間だったなと
部活に疲れた体を寮のベットで休ませながら思う。


恋人と別れた時の感覚ってのはこんな感じなんだろうか。



「……」



"私を、あなたの彼女にしてくれませんか?"



きっとラノベならば一枚絵が入っていただろう。
いや、もしかしたら冒頭のカラーの扉絵も有り得たかもしれない。
プロローグで主人公が告白されるシーンってとこか。

…その好意に対して、悪くはなかったと思うのは
誰かに告られる事が数少ないからか
それとも、相手が(人1)だからか。


出会って一日でも、印象って変わるもんなんだな。


人と話すのも関わるのも苦手なくせに
あともう少しくらいは話しても良かったかと思うくらいには。



「……」



眠気に負けて瞼が落ちる。
ヤベェ、まだ歯磨きどころが風呂も入ってねーのに。
でも体が起こせねぇ。これは落ちる……



ブーッ……ブーッ……



「ッ!」



……と思った瞬間に電話の着信音が鳴り響いてビクッと大袈裟に体が跳ねる。
まるで金縛りから開放されたように一気に目が覚めると
起き上がってポケットからスマホを出した。


画面に映された文字は『(人1)A』


まあ、だろうなとは思ってたが。
俺は画面をスライドするとスマホを耳に当てた。



『もっ、もしもし…?』


「…もしもし。なんだよ」


『え、えっと、……なんだろう』



何となく掛けたのかよコイツ。

まあ寝落ちしそうになったのを起こしてくれたのだから
少しくらいは付き合ってやるかとため息を着く。

とは言ってもやっぱり会話がねーな。
俺は適当に「ちょっと聞きたい事がある」と前置きをしながら少し考えた。


そして一つ、本当に聞きたかった事を思い出した。



「お前、俺が好きなんだよな」


『え!?…っ、好き…』


「っ」



自分で聞いといて照れんじゃねぇよ俺。
俺は一度、深く息を吐いてから「本当に、何かの罰ゲームで告白したとかじゃねぇよな?」と聞く。

が、聞いてからおふざけの罰ゲームなんざでわざわざ「ラノベ一冊で一日恋人」なんて食い下がり方をする訳ないと気付いたし、本人もそれを強く否定した。

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作者名:由麻 | 作成日時:2024年3月26日 0時

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