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13冊目 ページ13

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そりゃあラノベ一冊買って貰った時点で
俺は一日コイツの恋人だし、それこそがコイツの利害だが

だとしてもその恋人は(仮)がついているようなモンだ。

所詮はどんな皮を被ったところで
俺達は利害の上で成り立ってる関係でしかない。


本当に恋人になるわけじゃないしなる気もねェ。


まだ一緒にいたいなんてワガママに答えてやる義理もねェ。
っつーか部活だから普通に無理だし、赤司にキレられるし。


だからその言葉に対する回答は「無理」だった。



「……そう、だよね……」



(人1)が泣きそうな顔で微笑む。
めんどくせぇが手を差し伸べる義理もない。
何度も言うが部活だから普通に無理だし。

が、仮とはいえ恋人だと言うのも確かだ。

今日一日はそれを100%無下にする権利もなかった。



「部活があるから無理だって分かるだろ。
……けど、どうしてもって言うなら見学頼んでみるか」


「!!」


「今日だけだからな」


「うん!黛くんがバスケしてるとこ見たい!」


「……」



……見えるもんならな。
と思ったがコイツには見えてしまうかもしれない。

俺はため息を着くと再び歩き出した。
今度は(人1)も俺の隣を歩く。



「先に体育館行ってろ。俺は寮に一度帰る」


「私も一度帰るから途中まで一緒に帰ろ?」


「……はぁ」



確かに私服で体育館行くわけにもいかないか。

一階まで降りると靴を履き替えて二人で外に出る。
俺がラノベを取りだして読みながら歩き始めると
(人1)は俺の腕に手を添えるとくっついてきた。

いつしかラノベが読みにくいから
腕にしろと言ったのを覚えていたらしい。



「なぁ」


「ん?」


「いや、なんでもない」



それからは会話もなく寮まで着くと(人1)と一旦別れた。

ジャージに着替えて支度してから制服姿のAと
また一緒に学校に行くと体育館の前で別れて、
俺だけ一旦、部室に向かった。

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作者名:由麻 | 作成日時:2024年3月26日 0時

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