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そりゃあラノベ一冊買って貰った時点で
俺は一日コイツの恋人だし、それこそがコイツの利害だが
だとしてもその恋人は(仮)がついているようなモンだ。
所詮はどんな皮を被ったところで
俺達は利害の上で成り立ってる関係でしかない。
本当に恋人になるわけじゃないしなる気もねェ。
まだ一緒にいたいなんてワガママに答えてやる義理もねェ。
っつーか部活だから普通に無理だし、赤司にキレられるし。
だからその言葉に対する回答は「無理」だった。
「……そう、だよね……」
(人1)が泣きそうな顔で微笑む。
めんどくせぇが手を差し伸べる義理もない。
何度も言うが部活だから普通に無理だし。
が、仮とはいえ恋人だと言うのも確かだ。
今日一日はそれを100%無下にする権利もなかった。
「部活があるから無理だって分かるだろ。
……けど、どうしてもって言うなら見学頼んでみるか」
「!!」
「今日だけだからな」
「うん!黛くんがバスケしてるとこ見たい!」
「……」
……見えるもんならな。
と思ったがコイツには見えてしまうかもしれない。
俺はため息を着くと再び歩き出した。
今度は(人1)も俺の隣を歩く。
「先に体育館行ってろ。俺は寮に一度帰る」
「私も一度帰るから途中まで一緒に帰ろ?」
「……はぁ」
確かに私服で体育館行くわけにもいかないか。
一階まで降りると靴を履き替えて二人で外に出る。
俺がラノベを取りだして読みながら歩き始めると
(人1)は俺の腕に手を添えるとくっついてきた。
いつしかラノベが読みにくいから
腕にしろと言ったのを覚えていたらしい。
「なぁ」
「ん?」
「いや、なんでもない」
それからは会話もなく寮まで着くと(人1)と一旦別れた。
ジャージに着替えて支度してから制服姿のAと
また一緒に学校に行くと体育館の前で別れて、
俺だけ一旦、部室に向かった。
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作者名:由麻 | 作成日時:2024年3月26日 0時