35. ページ36
ーーーーーーーーー
「家の前まで送ってもらっちゃってごめんね」
「‥俺が送りたかっただけだからいーんだよ」
夕日も落ちて、暗くなった時間。青峰は私を家の前まで送ってくれたのだけど、今日のデートは何と言うか。ーーあまりにも健全で。人混みではぐれそうになった私の手を拾って繋いでくれただけで、青峰へのイメージは今日だけで大分変わったのだ。
青峰といえば、話すようになった頃は「俺と遊んでよ」なんて言ってきた男だ。不健全極まりない。
ーーなんというか、これは。
(‥大事に、されてるのかな)
じゃーな、と背を向ける青峰に、私は、待って、なんて口にしていて。
振り返った青峰は不思議そうな顔をしていて。
ーーしまった、そう思った時には遅かった
「‥寂しいか?」なんて、青峰にしては察しが良くて。
「だれが」
「顔に書いてあんじゃねーか」
「書いてないもん」
「じゃあこの俺の服を掴んでる手は何だよ」
思わず私の右手が掴んでしまった青峰の服、「‥間違えた」なんて言っても、それは苦しい言い訳で。青峰は悪そうに笑って「Aチャンがそんなに寂しがりなんて思わなかったぜ」と。
「また明日な、おこちゃまは早く家に入りなさい」
‥ーーそんな青峰の一言と、重なった唇。
はっとしたときには青峰の背中が小さくなっていて。
家の前に取り残された私は、「青峰の方が年下のくせに」と呟いたが、誰に聞こえるわけでもなく。
唇に残る感触に頬が熱くなるのを感じた。
82人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hamo(プロフ) - 佐藤さん» 完結おめでとうございます!青峰くんはもちろん、若松くんとの距離感がすごく好きでした。次の作品も楽しみです…!素敵な作品をありがとうございました! (7月24日 17時) (レス) @page50 id: c94f084532 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤(プロフ) - hamoさん» こちらこそありがとうございます! ここで完結ですが、またhamo様と出会えることを楽しみにしてます。またご友人様と覗きにきて頂ければと思います◎ (7月24日 14時) (レス) id: 59147bef43 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤(プロフ) - えのさん» コメント、頂けて本当に励みになりました。ありがとうございました◎ (7月24日 14時) (レス) @page50 id: 59147bef43 (このIDを非表示/違反報告)
hamo(プロフ) - 佐藤さん» うれしい返信をありがとうございます!新しく更新されたお話もめちゃくちゃよかったです…!お伝えしたい気持ちがたくさんあるのですが文字数が足りず泣 これからも追わせていただきます! (7月22日 23時) (レス) @page39 id: c94f084532 (このIDを非表示/違反報告)
えの(プロフ) - コメ返有難うございます!返信頂けると思わず、壁打ちのような感想を送ってしまいましたが、大丈夫でしたか? また興奮冷めやらずコメントしてしまうかもしれないので、ご迷惑でしたら弁えます;今日更新分も文字数が足りないほど最高でした!! (7月22日 23時) (レス) id: d13c000863 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐藤 | 作成日時:2023年7月7日 22時