勇気出します ページ16
自分から遠ざけたのに、いざ何も話せなくなると辛い
ー今だって、目の前にいる
園川さんと赤司くん
赤司くんの腕に抱きつく園川さんが羨ましい
「ねえ赤司くん?私今日はねぇー.......」
2人は敬語で話していたのに、いつの間にかタメ口になっている
玄関の前で征十郎に嬉しそうに話しかける園川さん
これから1人で帰ろうとしてる私に見せつけるかのようだ
こんなの見てられないよ
「赤司くん、私もその水飲みたいなぁ」
「.......自販機で買ってくるよ」
「あ、そうじゃなくて。赤司くんのが飲みたいなぁ..なんて。ちょーだい?」
間接キスとか、やめてよ。
私の前でやらないでよ
2人が付き合ってるのも、結婚するのも分かってる
間接キス以上のことをしてるのも分かってる
でも、私は征十郎のことが好きだから
ごめんなさい園川さん、征十郎
私はもう我慢できないです
冷たくしちゃったけど、突き放しちゃったけど
征十郎しか考えられません
『.......もう園川さんの言うことは聞けません。
ごめんなさい』
「A?」
「ちょ、ちょっと村上さん?何するのよ」
征十郎の手を引いて、園川さんから離れる
ただ、2人の家の方へ向かう
何も考えずに。
「A、どうしたんだい?ちょっと止まってくれないか?」
征十郎に言われて、我に返る
私、感情のままに動いてた.......
『ごめんなさい!その....園川さんと婚約してるのは分かってる.....けど、皆見てたから、つい、あの.......』
さすがに今このタイミングで好きだなんて言えない
「俺が、園川と婚約?何の話だ?」
『え?えっと、園川さんが前に学校に来てて、それで私が婚約者だから、あんまり征十郎と関わるなって言われてて。でも、ちょっと.......』
「ちょっと?」
『.......やだったって言うか、寂しくて』
私がそう言うと征十郎は少し笑って
「A、俺は園川と婚約なんてしてないよ。1度お見合いしただけだ。」
『あ、勘違いしてた私.....。ごめん』
「あいつがそう言ったんだろう?仕方ないよ
ちゃんとあいつを断らなかった俺も悪かったよ、すまない。」
『婚約.......してないんだ。』
その一言で私はひどく安心した
「帰ろうか。」
『うん、久しぶりだね。』
「明日からはずっと一緒だろう?」
『....うん!』
笑いながら征十郎と帰った
心の中がポカポカしていて、自然と笑顔になるような、とても嬉しい気分だ
征十郎、
私はもう少し、あなたを好きでいても良いみたいです
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2020年6月1日 8時