最悪だー赤司side ページ13
『.......征十郎?』
思わず後ろを振り返っても、誰もいない
「赤司さん?どうかしましたか?行きましょう?」
「あぁ、すまない。行きましょうか」
握られた手を強く引っ張られて服屋に入る
「どうでしょう?似合いますか?私」
「とても似合っていますよ」
かれこれ30分もこんなことをしている
女が試着した服の感想を求められ、似合っていると答えてはまた着替えて.......
苦痛でしかない
そんなつまらないサイクルの中でふと考える先程の事
俺の名前が聞こえたのは勘違いだったのかー
いや、確かに聞こえた
それに俺のことを下の名前で、しかも‴征十郎‴と呼んでくれるのは1人しか居ない
Aだ
もし本当に声をかけられていたとしたら俺はAに女と手を繋いでいたことを見られてしまったかもしれないな。道が混んでいたとはいえ、こんな目立つ赤髪はすぐに見つけられるだろう。
この女といるとろくな事がないな。
一刻も早く家に帰りたいのだが、そういう訳にも行かないな。
「赤司さん。今日はとっても楽しかったわ。是非またお会いしたいです」
「今日はありがとう。ではさようなら。」
あれから店を3軒も連れ回された挙句につまらない映画までみたのだ
やっと別れることができた。
すぐさま執事に連絡を入れて車で家に帰る
あの女の家まで送ってやったんだ。
今日は本当によく耐えたと思う
もう二度と会いたくないが
明日は学校。
今日は散々な目にあってとても疲れていたのがすぐ眠ってしまった。
今日は月曜日。やっとAに会える
いつも通りAは慌てた様子でやって来た
「おはようA」
『おはよう征十郎。なんか顔疲れてる?』
「そんなことは無いよ。じゃあ行こうか」
『うん、.......あんまり無理しないでね?』
今日のAはストレートの黒髪をハーフアップにしていてまた上品な雰囲気だ。
白い肌に短すぎないスカート丈から出る細い脚
ふわっと香る柔軟剤の匂い
全てがあの女とは違って愛おしく、綺麗だ
月曜日は憂鬱だ。
何もかも億劫に感じる
何とか授業を乗り越えて、部活に行く
久しぶりの部活は楽しかった
「今日の練習はこれで終わりだ。解散」
着替えて鞄を持ってから図書室に行く
扉を開けると、そこにAはいなかった
何故だ。今日は予定もないはずなのに。
いつもAが座っている机に近づくと置き手紙が置いてあった
征十郎へ
先帰ってるね、ごめん
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2020年6月1日 8時