依存症。【名前変換オリジナル】

第１９話 ページ25

りるside

りるクロネコ見た?
Airi今日も浮上してない。
雪菜ただバイト忙しいだけだよね･･･?
みーもふ本当にいなくなってないよね


毎日毎日クロネコのアカウントを監視して。


クロネコが低浮上なのは共通認識。

だけど


《最期まで本当にありがとうございました》

この言葉が頭から離れない。


仮想社会であった時の泣き声。

たまに見る意味深な一文。

客が気持ち悪いと苦笑するアバターの表情。


全部クロネコのSOSだったんじゃないかって思って




「っ、所詮･･･ネッ友なのに･･･。」

別に顔も知らない他人。

ネット越しの人間がﾀﾋんだところでうちには関係あらへん。


なのに、なのに。

どれだけ普段通りにしようとしても頭を掠めるのはクロネコとのこと。



「文美ちゃん･･･？」

「っ、ごめんね。私用事あるから！」


うちの顔を覗き込もうとする佐々木。

中庭から出ようとベンチを立つと、腕をひかれた

「最近いつも上の空だよね。」

「え？全然そんなことないけど･･･？」

「そんなことある。もういいよ。」

普段なら誰に対してだってうちが上なのに、
今は失敗ばっかり。


こういう時、支えてくれたのは誰やっけ。



あぁ、そうだ。

クロネコだ。


優しくて、仲間思いで、無理しがち。

うちらは顔も個人情報も知らないからこそ、
誰よりも分かり合えてるって言ってた。


嘘だと思ってた。

でもクロネコはうちの承認欲求を分かってくれてたし、うちもクロネコの辛さを分かってた。


りるクロネコが誰か、特定できんかな。
Airi流石にそれは･･･。
みーもふもうそれしかもう一回連絡する方法はないのかな･･･?


雪菜が既読をつけたままずっと黙ってる。

雪菜僕さ、実はクロネコの中の人と知り合いだよ。

突然の発言にチャットはさらに高速で動いた。


雪菜僕さ、会いに行く。僕が雪菜だってことも言う。


その数時間後、既読がひとつだけ増えた。

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