ラバーソウル！ (ページ6)

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結構、生徒におちょくられてんで？
国語担当やのに、噛むし、たまに漢字読めへんし。

「ほんまに言うてんの？」

「俺、もとちゃん先生の前で嘘ついた事ないけど」

って、笑ってる。

やったら、俺の勘違いやん。俺の事狙ってたんじゃなくて、憧れてるから見ててんな。

なんか、凄いホッとして。

「そんなん言われたら嬉しいわ」

って言ったら

「もとちゃん先生と結婚したいって言ったんも本気なんやけど」

って、余裕の笑顔して、首傾げてくんねんけど、俺やっぱりハントされかけてるやん。

「蜷川が先生になった時に、生徒にそんなん言われたらどう思うねん？困るやろ？」

「好きやったら、関係ないと思うけど」

「自分の気持ちだけ押し通してもあかんねん。生徒の先の事考えて行動せな、立派な教職者にはなられへんで」

「なに？もとちゃん先生、そんなに、俺の事考えてくれてんの？」

って目、キラキラさせて、なんか、俺のいうたこと全部逆効果やったみたいやわ。
あーあ。

「…とりあえず、俺はやめとけって」

「…先生はさ、人を好きになったことあんの？」

急に真面目な顔してそんなん言うの反則やわ。
いや、ちゃうやん。今日は進路相談やろ？

「…いや、そう言う話はもうせん」

「えー！これも立派な進路相談やろ？もとちゃん先生の奥さんになる為の」

椅子の上で、身体そらして、手も足もダラーンとさせて天井仰いでる。なんやねん、大人っぽいんか子供っぽいんかほんまようわからん子やわ。

「ほら、今日はこれで終わり。次は真剣に話できる時に声かけて」

蜷川の肩にポンと手を置いたら、捕まえられた。あかん、気ぃ許してた。

「…先生、ほんまにええの？」

「え？」

「俺が違う人好きになっても」

なに言うてんねん、そんな言い方、まるで俺が蜷川の事好きみたいやんか。

「…ええよ俺には関係ない」

「俺が誰と何しても？」

俺の手で遊んでた蜷川の吐息が、少し手の平にかかって、急いで手を振りほどいた。

「…ええよ、関係ない」

「…もとちゃん先生、俺の事意識してるやろ」

にやって笑って、「声震えてるで」って立ち上がった。

「…蜷川、」

勘違いや、そう言おうとしたら

「冗談やで、もとちゃん先生からかったらおもろいから」

授業中目があった時みたいに、ひらひらと俺に手を振って教室を出て行く。

「もう焦らせんなや」

力が抜けて、蜷川がさっきまで座っていた椅子に座り込む。

「…意識したら負けや」

言い聞かせるように呟いた。