21(碧色) ページ41
予想とは違う人物が自分を起こした
ただそれだけの事がしばらくシオンは理解出来なかった
思考がぐちゃぐちゃに掻き回され判断力が著しく低下しているこの感覚
夢に出てきたあの人はもうかなり近くまで来ているようだった
「女の子の部屋に勝手に上がり込むとか…うわあ…夜這いならぬ朝這い?」
「クレアに頼まれたんだよ、ご飯作るのはいいけどシオンを起こしてきてって。ついでにゴミ捨ても頼まれたよ」
「あぁ…なるほどね…クレアたんはユナンを雑用係にしようとしてるんだね…」
「それにしても、シオン、大丈夫?顔は青いしさっきから様子がおかしいけど…」
「大丈夫じゃないよ…場合によってはきみたちも大丈夫じゃない…はやくこの国から出た方がいいと思うよ」
シオンは適当にそう言った
正直ユナンやイーちゃん、ホープたんにアラジンティトスジュダル…その人達がどうなろうとシオンは"知ったこっちゃない"とか"どうでもいい"としか思わないが、一応親切心から警告してみた
ほんの気まぐれだ
心配などしてもいないしする気もない
シオンは起き上がり、クレアを連れてはやくここを出ようと早足で歩き出す
「それはどういうこと?シオン?」
ユナンはそれについてくる
そんなユナンに苛立つ自分に少し驚きながら「必要以上の事は言わないし言えない」とだけいいクレアを探す
それを見てユナンは酷く悲しそうな顔をしていた
シオンはそっと見て見ぬふりをしてクレアを見つけ出しクレアの元へ駆け寄った
どうやらクレアはティトスと話しているようだった
話している途中だって気にしない
こっちは一刻を争う用事なのだから
「クレア」
「_____だから、私は__」
クレアはティトスとの会話に集中しすぎてシオンの呼びかけに答えない
ティトスも同様に、シオンに気づいていないようだ
シオンは酷く腹が立った
腹が立った、というよりこれは焦燥?あぁもうなんでもいいから早くクレアだけでも逃がさなきゃ
そしてまたクレアを呼びかけようと口を開いた瞬間だった
シオンの身体中に激痛が走る
口の中が鉄の味がする液体でいっぱいになりその不快感に耐えきれず思わず咳き込む
その勢いで口から漏れ出たのは真っ赤な色をした液体だった
血だ
1度溢れ出たそれは止まらずダラダラと流れ出てくる
ユナンとクレアてティトスが何かを叫んだような?でもそんなの気にならないくらいシオンは焦っていた
重力の負荷に体が耐えきれないくらい脆くなってしまったようだから
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:碧色と緑茶餅 | 作成日時:2017年7月13日 15時