20(緑茶餅) ページ40
「………あれ、こうだったですか…?違う……あ、もう朝……そう言えば一昨日から何も食べてなかったです…何か買いに行こ…」
笛の練習をしていたらいつの間にか朝になった。
僕は笛を持って手紙を机の上に置き、ホープを起こす。
「ホープ…起きるです」
「……ディスベアー?」
案外早く起きてくれて驚いたが、まずは要件を話す。
「おはようですホープ、今から出かけるです」
「……うん…」
ホープはまだ寝ぼけていた。目を擦りながらまだ寝ていたいって顔をしていた。
お揃いの服を着ていることも忘れて僕の腕にしがみついてステステと歩いていく。
因みに手紙に書いてあるものは
「父親の所に行きます。探さないでください」だ。
寝ぼけているホープにはギルドに行くって嘘をついた。
ホープがくっついているので別に何も問題は無い。
問題があるのは父親がどういう反応をするのか、だ。
「…父様……」
そうぽつりと呟いた。
そうだ…魔石…ソファに忘れてきた…。
__________
「…お願いするです…」
「任せとけ。ホープのガキは俺が預かっとく」
ギルドに預け、僕は父様の家にまで行った。
_________
「…父様?父様…?とうさ……ま?」
家には誰もいなかった。
部屋中探したけど、見つからなかった。
街を歩き、みんなに父の事をはなすが、誰も知らないと言う。
「…父様……」
すると、誰かが僕に話しかける。
「…あらあら、そこのお嬢さん…そこで座り込んでしまわれてたら、他人の邪魔になりますよ…。話は私が聞きますから」
顔をあげると、なにか不思議な女の人がいた。
「……?」
首を傾げ、その人を見る。
「そう警戒なさらないで?私も聞きたいことがありますから…」
この人は…誰なんだろう…。
ただ僕はひとつだけ言えることがある。
この人はきっと、危ない人だ、と。
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作者名:碧色と緑茶餅 | 作成日時:2017年7月13日 15時