花はなぜ美しく咲くのか、そう…働きたくないからである(大嘘) (ページ37)

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19(碧色) ページ37

「それにしても、もう肩は痛んだりしないのかな？」

ユナンが唐突に、シオンをいたわるようにそう言った

シオンは驚いたふうでも無く「うん、この通りもう平気」と
昼間当たり屋とぶつかった左肩をくるくる回して笑っている

「気づいてたんだ？すごいね…」

「明らかに動きが不自然だったからね」

そう、当たり屋にぶつかられた時シオンの肩の骨にはひびが入っていた
いくら何でも脆すぎるだろ！と思った人、仕方ない
これがシオンの体質なのだから

だからといって骨粗しょう症なんて生ぬるいものじゃない

ちょっとした衝撃でもすぐに体を壊してしまう体質
下手をすれば転んでしまえば"擦りむいた"だけでは留まらず肉がえぐれてしまうし普通なら軽い打撲ですむような衝撃で骨折もする
少し何かと肌が擦れるだけでも皮が剥げてしまうこともあるだろう

ユナンは少し行動を共にしたと言うだけで、その事を見抜いたのだ

たいしたもんだなとシオンは思った
いくら行動が、体を庇うため不自然になってたって、微かな違いすぎて人は気付かない程度だろうに
s級も軽々飛び越えるほど超難易度間違え探しだろ

現にユナン以外の人達は気付いたそぶりもなければ、クレアですら"こんなに悪化している"とは気付いていないのだから

「だからあんなに優しく転けそうになったりまた人にぶつかりそうになったりした私を助けてくれてたんだね、あんまり体に負荷がかからないように気を使って、引っ張って！紳士～」

「ふふふ、うん。ありがとう」

穏やかに笑いあっている2人

「でもこの事他の人にバラしたりしたら殺すから。たとえマギであろうとも」

そのままの空気で突然言い放たれたえげつない言葉

ユナンは笑って「もちろん、わかってるよ」と言った

あんなとんでもない言葉が飛び出てきたのに穏やかな雰囲気はそのままだ
逆に不気味さすら感じてしまうほどに

「ごちそーさま。それにしてもよく食べるね！そんなに食べてそんなに細身だなんてまさに女の敵だよね…」

「褒めてくれてるんだね？ありがとう」

「どういたしまして！」

「じゃあ、僕はこれで失礼するよ。ああそうだ、明日の分のご飯は僕が作ってもいいかな？」

「いいんでない？ほかの人にも聴いてきたら？」

「うん、あと聴いてないのはホープとディスベアーだけだから…明日の朝にでも聴いてみるよ。じゃあおやすみ」

「おやすみなさーい！」

部屋は何事も無かったかのように静まり返る

シオンはそっとベッドに入り目を閉じた