12(碧色) ページ23
「……。」
「……。」
気まずい。すごく気まずい。
ジュダルさんとディスベアーちゃんが席を外し私とティトスくんだけが部屋に残った。
隣に座っているにも関わらず会話が一個もないのはさすがにまずいんじゃないだろうか！同居人として！
でも沈黙が重いがまあ耐えきれないほどじゃないし……
「僕の知り合いに」
「んっ？？？？」
突然喋り始めたぞこの人
「僕の知り合いに、キミみたいな人がいるんだ」
「へっへえ……？」
「その人は、みんなを守ろうと頑張るあまり自分自身を守れなかった。」
「ふうん……？」
「その人とキミを重ねてしまうんだ。僕はキミを守りたいと思った。」
「そ、そう……」
なんの独白だ……。
「でも私は守られるほど弱くない。」
「どうだろうな。」
ティトスくんは笑った。明らかに私が不機嫌そうにしているにも関わらず。それがたまらなく不愉快だった。だがそれは顔には出さずにいた。
同居人として最低限のマナーかなってことで。
それにしても、シオン遅いな……早く帰ってこないかな。
心配で気が気じゃない。私もついて行けばよかった……
ティトス君の事は完全に思考から切り離し、私は窓の外を見てそんな事を考えていた。
それからずっとティトスくんからの視線を感じたのはきっと気のせいだ。
＿＿＿＿＿＿
その頃ユナン組は
「ユナンすごい！たくさん荷物持てるね！」
「そりゃあ、僕だからね」
「じゃあユナンならもっと持てるね！」
「いや、それはどうだろうねぇ……」
「あ！なんかヨーグルト食べたくなった！ヨーグルトも買おう！」
めっちゃ楽しんでた。
ユナンはたまに転びそうになっているシオンを引っ張って止めたり、人にぶつかりそうになっているシオンを引っ張って止めたり、在らぬ方向に進み迷子になりそうになっているシオンを引っ張って止めたり、それなりに世話を焼いていた。
ユナンはそっとクレアが過保護になっている理由を感じ取っていた。
この子とんでもなくドジなんだな……と。
「ユナンユナン」
「どうしたんだい？」
「猫がいる」
「猫だね」
「猫だよ。なでていいかな」
「いいんじゃないかな？」
「わーい！……あっ、威嚇された」
「落ち込まないで……って泣かないでシオンちゃん。たまたま警戒心が強い猫だったんだよ」
「私そんなに怖い顔してたかな……」
「可愛い顔をしているよ」
「口説かれた……」
以上、ユナン組の様子でした。
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作者名：碧色と緑茶餅 | 作成日時：2017年7月13日 15時
