【はたけカカシ】 勘違い (後編) ページ2
「ちょっと、何も言わずに行っちゃうつもり?」
『っえ…カカシ?! アンタ何でここに…。』
「ガイから聞いた。 …いつ戻るんだ?」
すると、Aは少し困った顔をする。
『…分からない。』
「は? 何それ。」
『っアンタには関係ないでしょ…。』
「大ありだよ、馬鹿。」
不意にAを抱きしめるカカシ。
「…待ってるから。 ずっと。」
『っ…放して。』
「Aが好きって言ってくれたら放してあげる。」
『…ふざけないでよ。』
と、低い声を出すA。
しかし、カカシはそれに怯む事は無かった。
「ふざけてないけど。 寧ろそれはそっちでしょ、A。」
『はぁ?』
「…何で俺じゃなくてアイツなのよ。」
『…何の話よ。』
「だから…。 何で俺じゃなくてガイが好きなんだよって聞いてんの。」
『…はい?!』
鳩が豆鉄砲でも食らったかの様な表情のA。
だが、それに構わず続けるカカシ。
「いーよ、誤魔化さなくても。 でも何でよりによってアイツなのさ…。」
『いや、え、ちょっと待ってよ。 私がいつガイを好きだって言った?』
「言わなくたって分かるよそりゃ。」
『いや…全然分かってないから聞いてるんだけど…。』
「…どういう事?」
更に悪い話をされるのでは、と思わず身構える。
だが、そんなカカシに向けられたのは…
『…アンタなんだけど。』
という言葉だった。
「…え、ごめん、何が?」
『っだから!! 私が好きなのは…アンタだっての…。』
「…うっそ…。」
思わずその場にへたり込む。
「何よ、それ…。 俺すっごい馬鹿みたいじゃん…。」
『大丈夫、すっごい馬鹿だから。』
「え、それじゃ…俺と…。」
『嫌よ。』
「何でよ。」
『アンタは信用出来ないから。』
「どこが?」
『全体的に。』
「…はぁ。」
そう。 Aはカカシが好きだったのだ。
しかし、彼が女には困っていないという事も知っていた。
自分に自信がないAは、彼の猛烈アタックですらただの悪戯だと思っていたのだ。
「ねーAちゃん。 実は俺って、とーっても一途なのよ?」
『あっそ。』
「…まいったな…。」
カカシは何か考え始めたかと思うと、足元に咲いていた小さな花を摘んだ。
そして、その花を器用に折り曲げ、指輪を作り、するり、とAの左薬指へと宛がう。
『…私の負けね。』
数日後、Aは木の葉の里へと戻った。
帰省時のカカシの第一声は
「子供は何人が良いかな。」
だった。
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作者名:青井リボン | 作成日時:2017年3月19日 2時