うみとゆき -tkin- (ページ45)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:81,412 hit

44 ページ45

大貴side

それはたぶん、今俺の目の前で
美味しそうにご飯を食べてるこの人だ。

大｢…なんでもいいんじゃない？

伊野ちゃんから貰えるなら｣

慧｢ほぁ？｣

とろんと垂れた目をして、
本当にこの瞬間でも
好きになっちゃいそうなのに

大｢" 伊野ちゃんとの時間 " を
プレゼントしたら、あいつきっと喜ぶよ笑｣

それ以上に尊い二人を応援したいと
昔から2人の間に立ってたから思えるんだ。

慧｢そんな時間いつも供給してあげてるもん。

まぁいいや、高木あんまり物欲しがらないし｣

ありがと大ちゃん、って
そんな無邪気な顔して笑わないでよ
伊野尾ちゃん。

俺のほんの小さな嫉妬も忘れたくなる、
あいつと同じ笑顔で。

.

大｢もう伊野ちゃん、しっかり…｣

今日は朝まで飲むぞー！と言って
いつもきっちり終電で帰る伊野ちゃんが、

この日は本当にお酒にやられて
いつも以上になんか…ふわふわしてた。

慧｢なんかさ、大ちゃんって
胸板厚くて男って感じだよねぇー｣

俺の身体にしがみつきながら、
もうさっきから何を言ってんだか。

大｢高木には負けるよ。｣

慧｢ほぇ？

…たかぎ？｣

大｢はいはい、もうタクシー来るから｣

『高木』というワードを聞いて
ポッと赤くなる伊野ちゃんを支えて、

もう真っ暗な空の下
ガヤガヤと明るい繁華街の光が
伊野ちゃんと俺を小さく照らした。

.