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大貴side





大「あ、はい、そこまでお願いします」





眠そうな伊野ちゃんと一緒に
なんとか無事にタクシーに乗り込んで

運転手に伝えた行き先は
俺の家じゃなく伊野ちゃんの家の近く。





そりゃこんなの予定外だけど、
こんな綺麗な顔した人
一人きりで帰らせるのなんか不安だったし。





大「伊野ちゃん、ちゃんと風呂入ってから
寝るんだよー?」





慧「…わかってるよぉ、」





んな事言って半分寝てんじゃん…





大「はぁ、まったく伊野ちゃんは…」





頭よくてしっかりしてるクセに
こうやってすぐ寝ちゃうとこは本当子供みたい。





大「…」





左肩に寄っかかった伊野ちゃんの寝顔を
そっと見下げれば、それは相変わらずで

ぷっくりした唇をツンとつついてみたら、
ふわふわの茶色い頭がピクリと動いた。





ふふ、本当に可愛い顔してるな、この人。





大「──高木ばっかりじゃずるいよ?

伊野尾ちゃん」





たまにはこんな風に、俺とも遊んでねって
きっともう聞こえてないんだろうけど。





そんな事ももういいや!って思えるのは
この人とあの人に似通ってる内面があるからだ。





ふと窓の外に目を向けると、
見えたのは都会の眠らない夜の空で
それとは裏腹に静かに浮かぶ月。

それだけなのに、なんか
心にじんわり優しい気持ちが滲んだんだ。





隣で眠る大好きな人に、
大切な8人の仲間を思い出したから。





.

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作者名:Jasper | 作成日時:2019年3月15日 13時

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