うみとゆき -tkin- (ページ19)

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慧side

高木が楽屋に戻って来てたことに
気づいたのはそれからだいぶ後で、

その時には既に裕翔と談笑してたから
まぁいいかと軽い気持ちで終わらせた。

大｢…｣

そんな俺を、大ちゃんが
どんな顔して見てたのかなんて考えもしないで。

.

ツアーもいよいよ終盤に入って、
東京ドームでのコンサート。

スケールの大きさだって今までとは全然違うし、
その分皆の心意気も強く増してるのに。

慧｢…ぅわ、｣

──ふらり、

アンコールの花道。

元々朝から少しだけ気だるかったせいか、
一瞬目眩がしてふらついた。

大きな歓声と会場に響く歌で、
誰も気づいてないだろうけど…

ダメだ、終わるまでは頑張らなきゃ。

迷惑かけたくないって、
ただその思いだけでやり切った。

.

雄｢ごめん、俺舞台の打ち合わせだから…｣

宏｢おう、行ってこい！｣

ライブが終わったのも束の間、
シャワーを浴びた高木は『すぐに戻るね』
と言い残して部屋を出ていった。

涼｢伊野ちゃん、大丈夫？｣

慧｢…ほぇ？｣

涼｢なんか、さっきからぼーっとしてるから｣

慧｢いつも俺こんなんだよ？｣

涼｢…そう？｣

ライブ終わりでテンションが上がってる
メンバーの中で、やっぱり山田は
俺の不調に気づいてたのかもしれない。

.