8 ページ8
・
目を覚ますと、外はもう暗かった。
午前3時、、か
寝すぎた…お腹すいたなあ
リビングにいくと、夜ご飯にラップがかけてある。
お母さんありがとうと心で唱えながら電子レンジで温めて食べた。
ご飯を食べて、お風呂に入って
明るくなってきたので散歩に出てみることにした。
早朝の空気、嫌いじゃないなあ
春先のこの匂いとか
誰もいない静かな住宅街
タッタッタッタッ
ん?静かな…
タッタッタッタッ
え?なんか足音…
後ろを振りかえるよりはやく声をかけられた
「中野Aか…?」
『えっ…牛島くん!おはよう、朝早いね』
足音の正体は牛島若利だった。
別に驚かない。私だって現役の時は早朝に走っていたし。
『ロードワーク中?』
「あぁ。」
牛島くんは、立ち止まったあと
私に合わせて歩いてくれた。
『あ、中学の時、いきなり叫んじゃってごめんね。ずっと謝りたくて。』
「いや、構わない。」
『私も久しぶりに走ろうかな』
はははと冗談で笑ってみせる。
牛島くんに冗談は通じないのか、ニコリともしてくれない。
どうしよう気まずい…
「お前は、なぜうちに来たんだ?バレーはしないのか?
もっとその、強豪に行くと思っていたのだが。」
先に沈黙を破ったのは牛島くんだった。
『あ、えっと…』
「話したくなければ構わないが、ずっと気になっていた。」
『怪我!怪我したの!』
無理やり笑って答える。自分の中では思い出したくないことだ。
「そうか。」
『大会前に事故にあった。左手首が思うように動かなくなってね。もう治らないんだって。もう、トスあげられないの。』
どうしよう、泣きたくないのに涙が出てくる。
『それでね、バレーやめたの。
私のしたいレベルではできないから。
オーバーさえ使わなければできるんだけど、
私はセッターなんだもん。』
泣きながら続きを話す。
「そうか。お前なら、他のポジションでもやっていけると思ったが。」
『そうかな。ありがとう。』
また沈黙。
「お前はいつも、泣いている気がする。」
『!ご、ごめっ…』
613人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピンス(プロフ) - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (3月26日 9時) (レス) @page21 id: a7fb103bed (このIDを非表示/違反報告)
ふみ - わぁ〜!!超イイ話です👍 高評価とコメントさせていただきま〜す (3月11日 23時) (レス) id: 567d5d614d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みあ | 作成日時:2024年2月22日 0時