第90話 ページ48
.
「生き返りたい？」
『……』
窓から彼らを見た後、男が言った。
「生き返らせるのはね、簡単なんだよ」
『……そんな都合のいいこと、あるわけない』
…だって、世界は残酷なんでしょう？
「ああ、そうだね。生き返られるけど、果たして前と同じ状態かはわからないね」
『…人間じゃないってこと？』
「そうだね。鬼滅の刃の世界なら、人間以外…"鬼"という選択肢がある」
『そう…』
期待はしてなかった。だってそんな簡単に戻らせてくれるなら、多分私は死んでない。
「どうする？」
『…別に、鬼になってまで生き返りたいと思わない』
「彼らに会いたくないのか？」
『会えたところで私は斬られるだけ』
「それでも、また会えるよ？」
『うるさい』
ピシャリとそう言えば、ふーん…とつまらなさそうな声で返事をする男。
「…折角だから昔話をしよう」
『勝手にどうぞ』
「君が死んでからの世界の話」
『…！』
思わず振り返ると、ふふふ、と満足そうに笑うソイツ。
「前世では犯罪者に家族を刺殺されたんだよね。運悪く実家に帰ってきていたお姉さんも」
『……』
「家族が死んで、自分も死んで。でも今世では家族
『…黙れ』
…鬱陶しい。煽るような口調は癪に障る。
「まあ聞いてくれ。もし、"前世"の家族が、同じ世界を生きていたら、どうする？」
『……は？』
「この世界に、君の家族も生き返っていたら、どうする？」
…何を言ってるんだ、この男は。
楽しそうに語る男は、私の顔を見てニヤリと口角を上げる。
「君の父親も母親も姉も、皆生きていたよ」
『嘘だ…』
「なんならもっと教えてあげよう。君の"前世"のお父さんとお母さんは生きてるよ」
『えっ…？』
あまりに現実離れした話に理解が追いつかない。
「"人間"か"鬼"かは教えてあげないけど生きてるよ」
『…っ!!』
「ただ、お姉さんは…もう完全に死んでる。彼女はもう生き返らない。次に命が宿る時は全く別人だ」
『姉さん…が……』
「因みに、そのお姉さん。君と同じく鬼殺隊だったよ」
『！』
そう聞いて、ふと思い出す、師範のこと。
…いや、そんな、まさか、
「彼女の育手は十朱正親。君と同じ氷の呼吸の使い手で稀血で…。最後誰だったかな…忘れたけど上弦の鬼だよ、確か。羽織も君が着てたのとよく似てたなあ」
『…っ！』
「ふふ、姉妹揃って上弦に殺されるなんて、仲良しだねえ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たくあん(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます！！柱なので頑張ってもらっちゃいました！！！((笑 ありがとうございます（ ; ; ）頑張ります（ ; ; ） (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 0c6fafeba7 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 夢主ちゃん、下弦とのエンカウント率高www((更新頑張ってください！！ (2019年12月22日 16時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ふらんさん» コメントありがとうございます！！ご期待に添える展開に持っていけるか不安ですが、更新頑張っていきます！！ありがとうございます（ ; ; ） (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます！！面白いって言って頂けて本当に嬉しいです（ ; ; ）更新頑張ります！ (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 葵咲さん» コメントありがとうございます！（ ; ; ）うおお…う、嬉しい…！（ ; ; ）更新頑張ります！（ ; ; ） (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たくあん | 作成日時：2019年6月25日 1時
