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210 心配。 ページ10

「心配かけちゃったのはごめんなさい。結果論だけど……私は五体満足でここにいるわ。これからどうなるかは分からないけど、あなたは強くなって、自分の身を自分で守れるようになったわ。だから、それで良しとしましょう? ……ね」

「……」

喉が震えて声にならなかったから、俺はゆっくりと何度か頷いて、それを返事にした。

鈴はそんなAに微笑んで、親愛のキスを額に贈って。数分前より小さく見える、愛しい妹の体を、壊れんばかりに強く抱き締めた。



「お〜い」

息の白くけぶる朝。学園に続く階段を登る生徒たちが大勢いる中、Aたちの耳に届いたのは、そんなあくび混じりの、間抜けな声だった。

__ああ。なんだかとても久しぶりに、この声を聞いた気がする。あくびで締まらない顔をしているだろうと思いながら、Aは後ろを振り返った。

「おはよっス」

案の定。燐の顔を見て、Aは少しだけ、強ばっていた肩の力が抜ける心地だった。

あくびすら白くなるほどに冷える朝だ。肩の力が抜けるくらいがちょうどいい。

子猫丸がにこやかに挨拶を返した。

「おはよう。奥村くん、勉強できた?」

「とちゅうでねた。……もうあきらめる」

まだ眠たげな声だ。言いようのない愛嬌に朝から愉快な気持ちになる。かく言うAも、昨日は勉強していない。……。……ちょっとまずいかもしれないけど、まあ、もう遅い。

「今日のテストさえ乗り切ればっ……後は冬休みや!」

アソベル〜〜、と冬休みを心待ちにしている志摩。


しえみが合流した。

「冬休み、みんなどーすんだ?」

燐がしえみに挨拶をしながら聞いた。真っ先に答えたのは志摩で、次に勝呂。そして二人に意見を引きずられた子猫丸。

「俺は実家帰らへんよ〜」

「俺も忙しいわ」

「坊も志摩さんも帰らへんならぼくも残ろーかいな……」

どうやら京都組は全員残るようだ。それを聞いた出雲が、横に並んだ皆皆を見ながら言った。「みんな残るなら認定試験の勉強会やらない?」

「えーっ! どうせ集まるならクリスマスパーティーせぇへん?」

子猫丸の、ええなあ、に被せるように叫んだのは、やっぱり志摩だ。

クリスマスか。Aのクリスマスの思い出といえば、初めてハヤト……師匠と迎えたクリスマスの日に、キーホルダーを貰ったことくらいだ。安っぽくて、土産屋に売っていそうなキーホルダー。そういえば、あのキーホルダー、たぶん無くしちゃったんだろうな。……惜しいことをした。

211 やめる。→←209 売る。



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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2020年12月10日 3時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アオ | 作成日時:2017年12月5日 22時

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