青の祓魔師名誉騎士の死神！？ 5 (ページ33)

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233 過去編。ページ33

「いいだろう。この女には我が社で働く栄誉を与えてやる。安心して死ぬといい」

「……、しあ…………に、れって……」

血と涙の混じった水っぽい声で、必死に男は言葉を綴ろうとする。途切れ途切れでろくに文章の体を成していなかった。けれど貴瀬は律儀に聞いてやった。

ほどなく男の体からは力が抜けた。

貴瀬は握っていた手を離し、地面に置いてから、男に被さる女の顔を見た。幼いがそれなりに整っている。

＿＿幸せになれって、伝えてくれ。

(……死に際の想いは呪いになりうると、知らんのかこいつは)

恋人か何かかだろうか。それにしては年が離れている。まあ、昨今ロリコンなどは珍しくもないので驚かないが。

男の血でバリバリになった手で、今度は女を抱えあげる。こちらは手と、男に触れていた腹以外は汚れていなかった。

車に乗せる。上等な車内が泥と葉っぱと血で汚れたが、そもそもガワからしてベコベコなので気にすることは無い。買い換えればいい話だった。

「あのおなご、面白そうな匂いがするのう」

「喰うなよ」

「気が向いたら喰うてしまうかもしれんのう」

「うちの従業員にする」

みーこがまた、面白そうに顔を歪めて貴瀬を見た。

「鈴蘭といい、このおなごといい、最近は愉快な拾いものが続くこと」

「愉快、な。さてどうなるかは……こいつが起きねばわからん話だ」

こうして闇風Aは、最愛の師匠と別離し、伊織魔殺商会へと入ることになった。