227 過去編。 ページ27
ハヤトはメンテナンスを終えた銃をホルスターにしまった。「じゃあ明日に備えて、今日は美味いもんでも食って早めに寝ようぜ」
「はーい」
今日は中華丼である。
◆
翌日。正午を少し過ぎた時刻に、Aとハヤトは指定された森の中を歩いていた。森の中はあまり荒らされた様子がない。動物の死骸も、踏み荒らされた植物の跡も見当たらず、検討はずれの光景にハヤトは鼻白んだ。
「なんだよ……気合い入れてきたのに、そこまでやばくなさそうだな」
「楽に済むに越したことないよ」
「まあそうだけど……、ん？」
ハヤトが、ガサガサと藪の中を捜索していた手を止める。
「……なんか聞こえなかったか？」
「え？」
Aも耳を澄ませる。……木々の葉が擦れる穏やかな音と、時折混じる鳥の鳴き声。それ以外には何の音もない。知らずAは穏やかな気持ちになった。
「鳥と葉っぱの音しかないよ」
「うーん……気のせいか……？」
腑に落ちない顔つきの師匠を小突いて、Aは手分けして捜索することを提案した。この様子では、悪魔の方も出てくる気はなさそうである。
「いや、二人で一緒に探すぞ」
少し面食らう。今まで、任務の途中で二手に分かれることは茶飯事だった。ハヤトは大きな木の裏を捜索しながら言った。
「今回は木に遮られて視界がきかないから、いつ何が起きても対処できるようにしとく。あと、これ
は俺の直感だが、……なんか嫌な予感がするんだよな」
Aは気を引きしめる。この師匠の直感は、今のところ外れたことがない。楽に終われば御の字と思っていたが、もしかするともっと不味い状況なのかもしれない。
「分かった。二人で探そう」
とはいえ、森は広かった。
小一時間捜索しても、出てくるのは木と、虫と、鳥と、鳥の羽根だけ。Aは少し疲れて、木の根元で休んでいた。拾った純白の羽根に何故だかとても惹かれて、太陽の光に透かすようにかざす。キラキラと輝くようだった。
「全っ然いねえじゃねーか……」
師匠の声に、休憩を終えて立ち上がる。
「師匠も休憩しなよ。その間俺が探すから」
「あー……じゃあ頼むわ。つかれた……」
とぼとぼとAの休んでいた木に向かう師匠を見送り、Aも辺りを見渡す。木。木。葉。木漏れ日。どこを見ても、鮮やかな森の風景以外ではなかった。澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込んで深呼吸をする。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2020年12月10日 3時) (
レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ | 作成日時：2017年12月5日 22時
