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219 目。 ページ19

折りたたんだ写真をポケットに突っ込んで、赤い髪の男は踵を返した。

なるたけ身軽に準備したから、俊敏に動くのなんて簡単だ。一つだけ、いついかなる時も肌身離さず持っている銃だけは、ホルスターに入れて下げている。銃につけた、十字架の形のキーホルダーを、ホルスターの上からなぞった。

長袖に包まれた手を、写真を入れたポケットに、そっと添えた。





スパッ!

風を切る音と共に、一つ目の巨大な悪魔__サイクロプスの踵、人間であればアキレス腱の当たりを、血がほとばしった。

シュラの刀による攻撃だ。

サイクロプスの足を傷つけ、勢いを殺しながら、シュラは周囲の祓魔師たちに目線をやって叫んだ。

「ジャックフロスト隊、前へ! 囲みながら打てっ、目を潰せェッ!」

使い魔を召喚した祓魔師たちが、一斉にジャックフロスト……氷の精霊たちを、サイクロプスの目へ向けて放つ。低い地響きのような、醜い悲鳴を上げて、サイクロプスは身悶えた。

「シュラ、やっぱ攻撃力足りてねーぞ、致命傷には程遠い!」

「ああクソっ、分かってるよ! ライトニングと連絡は!?」

Aの叫びへやけくそのように返したシュラに、糸目の男が応答した。

「まだです!」

「にゃろう、肝心な時に限っていねーよ!」

Aは、心を落ち着けるように、一度深呼吸をした。黒の鎌を顕現させながら、糸目へ目をやる。

「サイクロプスの有効な祓魔法は分かったか?」

「やはり十二世紀ほど昔の記録しか出てきません! ……"火と鉄の神""稀に人を食す""火を噴く巨大な目を潰すまで暴れ続け、戦場は焼け野原となった"」

「ああそうかい、くそ、物騒なヤツだな、全くもう!」

「そうはさせねーよ、こんな街の真ん中で! 氷漬けにしてやる!」

A、シュラが目を合わせつつ言い合った。まずはやはり、優先順位第一位は目だ。二人とジャックフロスト隊で協力し合えば、目ひとつ潰すなどわけのないこと__、

Aが鎌を両手に持ったところで、サイクロプスに動きがあった。

顔を守るように交差させていた両腕を外し、サイクロプスが目を見開いたのだ。それと同時に、不気味に光る、どでかい眼球が姿を現す。

「なんだ、あの……」

シュラが訝しげな顔をした。__すると。

__ドッ!!!

大きな家電量販店のビルが突然燃え上がった。

サイクロプスの目から放たれた光線によって。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2020年12月10日 3時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アオ | 作成日時:2017年12月5日 22時

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