211 やめる。 ページ11
燐が思い出したように言った。「クリスマスっていえば、俺と雪男の誕生日だ」
まあ、25日ではなくて27日だけど……とAは心の中で補足した。燐自身も｢27日だけどクリスマスと一緒に祝われてた｣と付け加えたのを聞いて、うんうん、あるある。とこくこく頷いた。
志摩は何が悲しいのか、えーんとわざとらしく目元など拭きながら、自分の誕生日を強調した。
｢俺なんか今年気づいたら過ぎとったんや……誰にも祝われんで〜……｣
ちなみに、志摩は7月4日らしい。勝呂は8月20日、出雲は10月11日。Aは10月1日生まれ。誰も過ぎている。
｢だったらみんなでクリスマス合同誕生日パーティやろーやー｣
ああ、それはいい案だ……とAは思ったが、勝呂と出雲は｢そこまでする？｣みたいなことを揃って言っている。え……いや、いいじゃん……やろうよ……。
｢もっと学生生活エンジョイしてこーや!! このガリ勉ども!!｣
｢しえみさん！｣
｢あ、セ……奥村くんおはよーです｣
｢おはようございます｣
志摩の渾身の叫びを遮るように、雪男の声がした。それに志摩はがくんと大げさにガッカリして見せる。もっと話を聞いてほしいらしいけど、うん、まあ、どんまい……。
｢祓魔師認定試験を受けないって本当ですか？｣
一瞬雪男が何を言っているのか分からなくなった。雪男の視線はしえみに向いていた。……しえみが、"認定試験を受けない"だって？
｢えっ、？｣
｢は！？｣
塾生のみんなもザワつく。
しえみは一瞬だけ気まずそうな顔をしたあと、困ったように笑顔を作って明るく肯定した。
｢うん！ 祓魔師になるのはやめたんだ。やっぱり祓魔屋を継ごうと思って｣
だから塾も、認定試験の時期になったらやめるつもりで……あっ、でも学校は今までどおり……。しえみの声を聞きながら、Aは衝撃のあまりぽかんと口を開けていた。
しえみ、だって、いままであんなに頑張って……。
いや、でもまあ、危険な仕事だし、しえみがそう決めたなら、それでいいんだろうけれど、……。
横目に、燐が驚きに目を見開いた顔のまま、何かを言おうと口を動かしたのが見えた。
｢だってお前、この前｣
｢ふざけんじゃないわよ!!!｣
遮るように響いた怒声に、燐がびっくりした。出雲だった。
｢どーせお母さんに反対されたんでしょ！？ そのくらいでへし折られてんじゃないわよ！ ……あたしがお母さんを説得してあげるわ、今日、｣
しえみは、さらに言い募ろうとした出雲を遮った。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2020年12月10日 3時) (
レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ | 作成日時：2017年12月5日 22時
