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『いや、ホント許してください!!』
「あぁ?お前舐めた口聞いてんじゃねぇよ」
薄暗くてひんやりとしたトンネル内には、私と数人の不良の声が響き渡る。
学校帰り、寒いから肉まんを食べてたら突然絡まれたのだ。本当に突然。
私の周りを囲む不良たちは、座り込む私を見下ろす。その目が怖くて、血の気が引いた。
「そこまでにしとき」
エコーがかかって聞こえた、はんなり京都弁で優しい声。
救世主かっ!と思って見たら、黒いパーカーのフードを深くかぶっていて、ちらりと金色の髪がフードの隙間から覗いていた。
不良…だ。
「センラ先輩!!すいません!」
セ「すいませんじゃなくて、すみませんやろ!!」
キーンとトンネルの中に響き渡った。
静まり返るトンネル。ぴちょんと雫が水たまりの水面に滴る音だけが聞こえる。
私と目線が合うようにしゃがんだ彼は、私の顎を掴んでクイッと上にあげる。
『あ、あの…』
セ「ふぅーん、随分かわええ子やな」
フードの中に見えた顔は、思った以上の美貌で、思わず見惚れてしまうほどだった。
蜂蜜色の透き通った瞳に、綺麗に染められた金色の髪。
全てが均等に整っていた。
セ「名前は?」
『あ…A…です。』
セ「その制服、○△高校?」
『そうです…けど。』
セ「おぉ!ナイスタイミングやなぁ」
よし、と言いながら立ち上がった彼は、仁王立ちでこう言った。
セ「今日からセンラに勉強教えてや!」
『…は?』
セ「実は、センラも同じ高校やねん。」
『はぁぁぁあ!?』
まさか、と思った。
学校内で有名の、数百人倒したとかいう伝説の不良。
私と同じクラスで、入学式から1度も顔を出したことがない生徒だ。
でも、それは一人ではなかった気が…。
『一ついいですか?』
セ「なに?」
『もしかして、あなたのほかに3人の不良いたりしませんか?』
セ「んぁ、おるけど…それがどうしたん?」
『…私が勉強教えるのって、あなただけですか?』
セ「いや違うで?センラと坂田とうらたんと志麻くんやけど」
あ、これ人生終わった
教えるのは別に構わない。でも、もし教えたとして、分からなくて怒らせたらどうする?
そんなの私の運命は目に見える。
セ「じゃあ、はいこれ。センラたちの家の住所。無くしたりしたあかんからな!」
『…はい』
セ「じゃあ、今日からよろしくな?Aちゃん」
ニコッと微笑む彼に私は苦笑いで、はい、と返した。
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タシア松(プロフ) - 紫苑さん» こちらにもコメントしていただいてホントに感謝しかないです、、。ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - ドソキでツボっちゃいましたWとても面白かったです!これからも面白い作品待ってます! (2021年10月26日 1時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - ちょこまみれさん» ありがとうございます! (2021年1月24日 13時) (レス) id: 2434cd9a85 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまみれ(プロフ) - 素敵です (2021年1月24日 13時) (レス) id: 53f0e78d36 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - さとうさんさん» ハラハラできるようにかけていたなら良かったです…。少し自信がなかったので、。嬉しい褒め言葉本当にありがとうございます!これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!! (2020年3月29日 12時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タシア松 | 作成日時:2019年12月21日 19時