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● H.side*
鍵を渡す理由……?
ジャーッとシャワーを頭にかけながら、さっきアイツから言われた言葉を考えていた。
そんなの、信じてるから、しか思い浮かばないんだけど。
『第一、きみじゃなきゃこんな提案してないよ』
頭の中に“ 期待 ”の2文字が浮かび上がる。
心許してくれてる……って思って、いいのか?
でも……さぁ。
壁に両手をついて、大きく長いため息を吐く。
「……なんでああ簡単に合鍵渡しちゃうかなぁ」
危機管理能力ないんじゃねぇの?
いや、嬉しいんだけど。
逆に俺が気を使われてる感が……。
俺がアイツの逃げ口になるって言ったのに、アイツに俺の逃げ口を作ってもらってどーする。
お湯に浸かってボンヤリとしていると、ギターを弾いてる音が聞こえて来た。
「……あ、違う」
所々で止まったり間違ってたりする。
でも……経ったの2週間でここまで出来るようになるとか。
ほんっとにオールラウンダーなんだなぁ……。
「こりゃ、俺も抜かされる日が近いか……」
そもそも俺がギター始めたのは、美織の影響。
美織が楽器始めたいって言って、俺のダチにギター上手い奴がいたからそいつに教えてもらった。
そしたらまぁ、意外にもかなり上達してて。
美織にギター教えて、その後からはもう触ってなかったけど。
ザバッと音を立てて湯船から上がって、真っ白なバスタオルで頭と体を軽く拭く。
……この香り、結構好きかも。
バスタオルからほんのりと香ってくる匂い。
深い甘い匂いがして、なんか落ち着くっていうか、穏やかになるっていうか。
タオルを首に引っ掛け、脱衣所から出た。
「転校生、上がったぞー……」
チラッとリビングに目を移すと、そこにはいなくて。
リビングのもっと向こう。
ベランダに転校生が身を乗り出しているのが見えた。
……ぞわっと、全身の毛が逆立つような感覚が襲った。
「……転校生っ!!」
慌てて彼女の肩を掴み、こっちを振り向かせる。
「……? どうしたの、不良くん」
きょとんとした顔をしてるコイツ。
「あ、いや……」
俺は何を思ってんだ。
コイツが飛び降りるなんてまね……する訳ないのに。
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未麗 - 不良君とアーヤの組み合わせが最高でした!!これからもがんばってください!応援してます!! (2022年9月3日 8時) (レス) @page46 id: c3880015a9 (このIDを非表示/違反報告)
阿修羅 - アーヤがクールな感じでいい (2022年1月10日 10時) (レス) @page7 id: 4820c0c437 (このIDを非表示/違反報告)
柚須 - Clock lock Works という歌みたいですね! (2021年5月7日 15時) (レス) id: 8119590feb (このIDを非表示/違反報告)
天奏 - アオさん» ありがとうございます!^_^ (2020年7月25日 14時) (レス) id: e765e8c7f7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 最高でした! (2020年7月21日 1時) (レス) id: 0202dd951f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天奏 | 作成日時:2020年4月13日 19時