あのときの自由 ページ18
あー、快適。
誰にも気を遣わなくていいし、自分の好きなようにできる。
俺ー進藤海斗ーは今、いわゆる不登校というやつだ。
きっかけは単純だ。学校の奴らがうるさすぎてストレスが溜まり、不眠になり昼夜逆転してしまったから。ちなみに今は午前2時。家族はみんな寝ているから、家は静かで過ごしやすい。
クラスメートはバカしかいないんだ。俺のことを「カイちゃん」と呼び、ベタベタくっついてくる。馴れ馴れしいにも程がある。運動部ばかりでうるさいし話が合わない。けどショージや凉馬や青葉にはかえって言いにくいから相談しない。ところで最近午後5時過ぎに電話がかかってきているような気がするが、その時間帯は眠いからいつも出ずに切っている。
ふと目が覚めた。部屋のデジタル時計には「17:13」と表示されている。そしてベッドの横のテーブルに置いておいたスマホが鳴っている。
画面に「凉馬」という文字。最近電話してきていたのは凉馬だったのか、と納得してから通話ボタンを押す。
『もしもし、海斗?』それは、正真正銘、凉馬の声だった。
「凉馬?」
『そう』
「どうしたの」
『それを聞きたいのはこっち。海斗、最近どうしたんだ?』
単刀直入に聞かれてつい黙り込んでしまった。
『あ、聞かないほうがよかった?』
「いや別に」
『じゃ、どうしたんだよ』
「…学校に行きたくないだけだよ」
それから俺は、凉馬にその経緯を話した。
『…運動部と対等の立場まで上げるから、そしたら来いよ。…こういう台詞はショージのが似合うだろうけど』
「いや、そうでもないよ、凉馬が言うと何か頼もしい」
頼もしい、と言っている途中で電話が切れてしまった。
放課後だけ、行くのもアリかな。
今度ちょっと行ってみよう、と少しだけ思った。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時