僕らの世界2 (ページ36)

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おせっかいと相棒ページ36

あいつ、やっぱ何かあったのかな。

俺ー浪越天満ーは、よく見かける「あいつ」を見て思った。
あいつは、流浪人らしい。俺は帰宅部だけど、他の運動部の奴から聞いた。
なんでもあいつは、最近亡くなった3年生のひとと仲がよかったらしい。だから多分、落ち込んでるんだろう。これも運動部の奴から聞いた話だが。

俺は昔から、そういう奴を放っておけない性格だった。小学生の頃はガキ大将として近所中に知られていて、下級生の奴らには「兄貴」と呼ばれていた。

だからあいつのことも放っておけなかった。たまたま帰りが一緒の時間帯になった時、最近どうしたのか、と声をかけた。
あいつは俺を見て一瞬キョトンとしたが、俺の顔に見覚えがあったのだろう、話をしてくれた。
「最近、大好きで尊敬してた先輩が亡くなって…ちょっと落ち込んでるというか…元気が出ないんです」
あいつは、初めて話した俺に、素直に話してくれた。ダメ元で話しかけたけど、ここまですんなり話してくれるとは思っていなかった。
「そうか、廊下ですれ違う時、いつも下を向いてたのは、そういうことだったのか」
「はい、…えっと、あの、名前は…」
ここで俺は、自分がまだ名乗っていなかったことに気が付いた。
「1年A組の浪越天満だ。君は？」
「1年D組の山本広海。あの、なみこし君って言った？」
「ああ、浪越だ」
「浪越くんは、兄弟っている？」
俺は、一瞬「ゲッ」と思った。痛い所を突かれた。基本的に家族や兄弟のことはシークレットなんだ。
「それは、秘密なんだ」
俺は口に人差し指を当てて言った。
「君にも、その亡くなった先輩のこととか、秘密があるだろう。お互いそこには触れずに、仲良くしないか」
俺は、深く考えずに「仲良くしないか」と言ったが、あいつは喜んでくれたらしい。パッと笑顔になった。
「もちろん。
声かけてくれてありがとう、浪越くん」
「いや、全然。これからは天満でいいよ」
「わかった、天満だね。僕のことは広海って呼んで」
「OK、広海」

現在の相棒である広海とは、俺のおせっかいにより出会い、仲良くなった。広海との出会いで、おせっかいの大切さ(？)を感じた。
要するに、1年余が経った今も仲良くしてます、ということだ。