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『勝者、どついたれ本舗!!!!』
司会の人の声と共に会場は熱気と大歓声に包まれる。
予選決勝と言うだけあり、かなり苦戦を強いられたどついたれ本舗の3人。
精神への影響が大きいのか、観客に向けて手を振る3人の笑顔は疲れてるように見えた。
そんな3人を心配そうに見つめる最前列に座る少女。その様子に気づいた3人はニカッと笑いどついたれ本舗のハンドサインを向けてあげた。
少女はようやく笑顔になり、同じくハンドサインを掲げたのだった。
「お父さん!簓!盧笙!おかれさま!」
「おぅ!応援ありがとうな!」
控え室前にて駆け寄ってきた四葉を軽々と抱き上げる父親の零。
ヒプノシスマイクを使用したバトルを間近で見るのは初めてだった四葉はやはり心配していたようで、しばらく離れようとしない。
無事を確かめるように抱きつく娘に、零は無事を伝えるようしっかりと抱きしめてやった。
四葉はヒプノシスマイクに対して恐怖を抱いたりしてないだろうか。戦う父親の姿を見て怖いと思ったりしなかっただろうか…と、内心心配していたが、「本当にかっこよかったよ!」と言う娘の言葉に心底安堵した。
これで残るは本戦のみ。
1stディビジョンラップバトルはテレビの中継で見ていた。関東の4ディビジョンはどこも強豪だ。正直、新参のオオサカが勝てるとは思っていない。しかし、上からの達しがあったように、出場することに意味があるのだ。
さぁ、平和ボケした三兄弟に喝を入れてどついてやろうじゃないか。
その夜4人は祝賀会を開く余裕もなくそれぞれの家に帰宅し泥のように眠りについた。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時