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「ど、どう……?」
不安げな顔で盧笙の顔を見つめる四葉。
盧笙の顔は至って真剣で一身に机のものに視線を向ける。
「さすがやな、今回も満点やで!」
ほいっ、とおっきな花丸を書いた答案用紙を四葉に返す。
「やったー!お父さんに見せなきゃ!」
きゃっきゃと飛び跳ねて笑うこの少女は齢10歳、小学四年生だ。対してその手の中にある答案用紙。この問題は高校2年生向けに作られた数学の問題であった。
人間離れした知能の持ち主を前に盧笙は冷や汗すらかいていた。
高校数学教師をしてる盧笙は現役の高校生たちに数学を教えてる。しかし、高校生であってもここまで理解出来ている人はひと握りであろう。
一体この子は何者なのだろうか。
父親も謎が多く、本気で頭を捻らせていた。
「いやぁ、ほんとよう頑張ったなぁ」
四葉に向けた褒め言葉を併せ持った盧笙の本音から漏れだした感嘆の言葉。
「ほな、ちょっと休憩にしておやつでも食べよか」
「うん!」
盧笙はキッチンに向かい、皿の上にいくつかのドーナツを置く。このドーナツは四葉のお気に入りのものだ。以前、たまたま買ってたこのドーナツをあげたらえらい気に入ったらしく、時たまねだるようになったので最近はストックするようになった。
簓は置いておき、零と四葉が盧笙の家に入り浸るようになってからだいぶ経った。
零の仕事は平日休日を問わないようで、休日に仕事があり四葉が家で一人になってしまう日は、土日休みの盧笙の家でほとんどの時間を過ごしていた。
四葉は盧笙のことも簓のこともたいへん気に入っており、まるで家族のように安心した時間を送っていた。
2人で簓の出てるテレビ番組を見ながらのんびり過ごしていると、仕事から帰って来た零がやってきた。
「ただいま四葉、いい子にしてたかー」
映画でしか見た事がないようなマフィアのような派手な服の零は一見するとかなり怖い。顔も声もこわい。マジで怖い。
でも、四葉の前にいる時はちゃんと優しい父親の顔をしていた。
「お父さん見て!また100点貰ったよ!」
先程花丸を書いてもらった答案用紙を父親に見せる無邪気な娘。父親は大変嬉しそうに笑い、すごいぞ〜!と娘を抱きしめてやる。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時