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「あの、左馬刻…さま……?」
四葉の言葉に一郎と簓が吹き出す。
左馬刻は「おぉ、お前、出来たやつじゃねぇか」とご満悦顔。
簓がすかさずフォローを入れる。
「あれやんなw俺がサマトキサマって呼んでたから真似したんやろw
あいつは様なんて付けなくてええで!左馬刻さんって呼んだれ」
「あぁ、あいつはそれで大丈夫だw」
そんな2人に「てめぇら…」と青筋を浮かべる左馬刻。
四葉は困惑しながらも言い直す。
「あの…左馬刻さん……」
「あぁもう!それでいい!!んで、俺様に何か用か。」
「あの、合歓お姉さんに…」
四葉が説明を始めようと合歓という単語を出した途端、左馬刻の顔色が変わる。
「お前、合歓のこと知ってんのか。」
「は、はい…。あの、お父さん達がバトルをしてる間、ずっとそばにいてくれて…」
なんでお前が…という顔をしてる左馬刻にフォローを入れたのは乱数だった。
「四葉ちゃん初めまして!僕は乱数!無花果オネーサンとはとっても仲良しだよ!」と自己紹介をしてから、
「四葉ちゃんのお母さんは言の葉党のメンバーだったんだ!だけどそのお母さんがちょっとやらかして失踪。んで天谷奴パパが1人で面倒を見切れなくて困ってた所を助けてやったのが、言の葉党の無花果オネーサン達だったって訳!合ってるよね!」
とても簡潔に、且つ、天谷奴と中王区の関係を上手く隠した乱数はさすがと言えよう。
四葉はウンウンと頷き、肯定する。
「なるほどな……んで、合歓がなんか言ってたのかよ。」
「あ、あの、お兄ちゃんってどんな存在か聞いたら……」
『私はお兄ちゃんのこと、大好きよ。世界でたった1人の大切な家族。』
「……と。」
それを聞いた左馬刻は少しの間を置いて小さく「……そうか」とだけ答えた。
「あの、あの時は合歓お姉さんにお礼を言えなくて……。だから、もし合歓お姉さんに会ったら、お礼を伝えておいて欲しいなって」
「……あぁ、わかった。合歓に“会えたら”伝えておいてやんよ。」
ぽんと頭に手を置き笑った左馬刻さんの顔は心做しか少し寂しそうに思えた。
そうこうしてるうちにチェックアウトの時間になったようで、各ディビジョンのメンバーが迎えに来て解散となった。
「それでは私たちはこれで」
「俺達も帰るぞ」
「んじゃ、拙僧たちも帰らせてもらうぜ!」
「みんなバイバーイ!」
寂雷と左馬刻、空却、乱数が別れを告げてメンバーたちと合流しに行った。
残されたのは一郎と簓、そして四葉だ。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時