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「うしっ!準備はええか〜?」
今日は2ndディビジョンラップバトル初日。
昨日のうちに関東入りをしホテルで一泊をして、今から中王区に向かう。
簓も盧笙も、もちろん四葉も中王区に入るのは初めてだ。盧笙が入念に全員の通行証の確認をし、電車で向かう。四葉は人生初めての関東に常に目をキラキラさせていた。
「どや、関東の空気は!人は!街は!」
「空気は…別に普通。人多い!ビル高い!」
何故かドヤ顔の簓とテンションの高い四葉。
「なんでお前がドヤっとんねん!」
「あいた!」
楽しそうな3人を後ろからははっと笑いながら眺める天谷奴零。
平和な時間は今だけだ。自分たちの向かう先が血も涙もない冷徹な戦場ということを、中王区に出入りしている零だけが理解していた。
電車を乗り継ぎ、指定の場所に向かう。
時間は概ね予定通りであった。
これから開催されるディビジョンラップバトル。今日は準決勝の3回戦が行われ、勝ち抜いた3チームが翌日の決勝戦に出場する。
どついたれ本舗は1回戦目。しかも対戦相手は、
「Buster Bros!!!……」
待ち合わせの指定場所には対戦相手のイケブクロディビジョンBuster Bros!!!が既に待機していた。
「……どついたれ本舗、来たか。」
オオサカ一行の存在に気づいた山田一郎と二郎、三郎。その顔つきは怖いくらいに真剣なもので、ヘラヘラとしてる簓とは真逆のものだった。
前回の1stディビジョンラップバトルでヨコハマのMAD TRIGGER CREWに初戦敗退してしまったBuster Bros!!!の覚悟は、相当なものだとその3人の雰囲気から十分すぎるくらいに伝わっていた。
「おっ!俺らのチーム名覚えとってくれておおきに。一郎はこの間ぶりやな。弟くん達初めてまして〜!俺は漫才師やってる白膠木簓っちゅーもんや!よろしくな!」
そんな相手をものともせず、いつものようにへらへらとした笑顔で挨拶をする白膠木簓はある意味の強者だと思う。
そんな簓に反応した男が1人。
「うわ、本物の白膠木簓だ!!!」
野球帽を被ったタレ目の男、山田家次男、山田二郎だ。
「おい、低脳二郎…敵を前にしてヘラヘラしてんなよ…」
「うるせぇバカ弟!あ、あの、握手してもらっていいっすか!テレビで見てめっちゃ笑わせてもらってます!!」
「お!ええでええで!おおきにな!」
わぁ!本物だ!とはしゃぐ二郎にヒリついてた空気は一気に崩れる。
今にも一触即発な二郎と三郎を宥め一郎が口を開く。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時