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マスターとなった日。 ページ3

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「蒼、今日の"あれ"の当番だよな」


技術スタッフとしてカルデアに所属し、間もなく。
初めて宛がわれた業務は、あまりに意外すぎるものだった。


「(あれって表現するのはどうなんだよ)君たちが嫌がるからな」

「むしろお前がレア。よくあの子と普通に話せるよな。俺は正直怖い」


彼女と初めて出会ったのはこの機関へやってきて間もない頃。
デザイナーベビーを目にしたのは初めてのことだったが、無菌室に閉じ込められた状況の異様さをみればインパクトは十分だったのだろう。


「初めまして。僕はロマニ・アーキマン。皆にはドクターロマンと呼ばれてるんだけど。好きに呼んでくれて構わないから」

「初めまして、ドクター。志月蒼です。ここへは技術スタッフとして呼ばれたと解釈していたんですけど」

「あはは。気持ちはわかるよ、言いたいこともわかる。だけどここは」


この部署に配属されたことはどうやら名誉なことではないらしい。
周囲の哀れみの視線…そして、目前の医師を名乗る者の反応をみれば十分に理解できるだろう。

無菌室の中に閉じ込められた彼女の瞳に色彩はなく、薄紅色の髪が小さく揺れる。そんな様子が映れば、挨拶には挨拶を。


初めまして、と唇を動かしてみれば返る反応。
周囲に合わせて特異なものとして扱うわけでもなく、だからといって特段この状況を正そうと思うわけでもない。
故にそれ以上に発言しない蒼の反応がドクターに対しては逆に作用したことに無論彼は気付いていないわけだが。

やってきて早々に、自分の役割を容易に理解できたわけだ。


「まあ確かに”僕みたいな人間”はこの役回りには都合が良かったわけだ」

「志月くん」

「如何にもって感じの魔術師らしい発想じゃないですか」


青年の笑顔の裏にあるのは果たして。
普段であれば特に関心を示さない男ではあるが魔術が絡むとどうも気が立つのが難点と言うか。


少女”マシュ”との出会い。
少女と青年が良き友人となる日はいざ知らず。
観察員と対象がレイシフトしてしまったなんていう案件が後日起こるなど誰も予想だにしないそんな明くる日。事件は起こるのだった。

*→←生い立ち、そして―。



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作者名: | 作者ホームページ:なし。  
作成日時:2023年5月27日 8時

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