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静かにヨコオさんはキタヤマさんを見遣る。
『藤ヶ谷も言ってたよ?どうやって手伝ってやればいいか分かんねーって。』
と、ガヤさんもヨコオさんのお隣に凭れ掛かり、お鼻の頭をちょちょいと掻いた。
『………うん。まぁ…結局不器用なんだよな、俺たち。足掻いたりもがいたりして一生努力し続けて、やっと器用な人の日常茶飯事なレベルに追いつけるって感じだし。』
『ごめん…俺、嘘つきたくなくて。』
『……いいんだよ、それで。お前がお前の夢をちゃんと追わないとさ、俺らもお前に気ぃ遣っちゃうからな。ケンカもできなくなるわ。』
ヨコオさんのお目目にお水が浮かぶ。
ガヤさんの腕が今度はヨコオさんのお肩に回された。
『俺もココでみんなと暮らしながらマジ怖くなった。誰かが結婚したらどうなんだ?転勤したらどうすんだ??
昔から俺たち7人一緒で、7人で協力すんのが当たり前でさ。この7人でいるのが好きだから、今が幸せな分、だんだん仲間が抜けてくのかと思うと怖かった。
…けど、今俺たちは違う仕事についてその場所でも仲間作って誰かと関係作りながら生きてるじゃん。マジで世界は俺たちだけのもんじゃないんだよね。
そんで、その仕事が俺たち7人が一緒に生きる為に役立ってる。
だから毎日じゃなくてもさ、また7人揃って肩並べて笑って音楽できる日が在るなら…メンバーが幸せならそれでいいと思うようになってきたんだ。
渉が《たま》に関連することはできないって言っても、俺は受け入れる。それは渉の幸せの権利だから。』
『たいしゅけ…ミツ。』
『横尾さん泣くなよ〜!横尾さんの背中はちゃんと語ってたぞ?
横尾さんは俺たちに必要な人で、いなきゃいけない人なんだからさ。
《たま》のことは俺たちに任せとけって。』
それは先に大人になったお3人の見えない絆。
大っぴらにはせずお互いを真っ直ぐ見てるの。
んと〜。お背中で語り合うって難しそう!
……でもね、お背中のお言葉も大切だけど、やっぱり伝え合うお言葉って大切だよ、ヨコオさん。
誤解されてるよりみんなが分かりやすいように。カッコ付けてる場合じゃないもんね〜??
このままだとヨコオさんが悪く見えちゃうし。
…さあ、言わなきゃね?ご自分のお言葉で。
『……俺は、キョ…。』
『キョ??…って何?肝心のとこで噛むなっつうの。』
でも今日のヨコオさんはガヤさんのツッコミに負けなかった。タマさんやガヤさんやみんなのお顔を見つつ、先を続けた。
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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月23日 0時