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『…ぐっ…お、俺《ココ》にいたいにょ。《ココ》で生きたい。
でも、店も俺の夢で…今はもうただの夢じゃないのよ。店もスタッフも俺が責任持って守るべきものなんでおざなりにしたくねぇし、手に余ることはしたくない…。
……あ〜…違う…違うな。そうじゃなくて。
やっぱ俺は言葉が下手だな。やっぱバカなんだな。上手い言葉浮かばねーわ。』

頭を抱えるヨコオさんにニカさんが微笑む。

『ゆっくり言ってみ?それともいつもみたいに後からメールするか??』
『流石にそれは…ちゃんと俺の口から言わにゃきゃゃ。』
『横尾さん、律儀…。』

あ〜ん!それだと僕には読めな〜い!!
それじゃ困るので、僕もひと工夫しちゃおっ。


僕はしっぽをふるふる振ってヨコオさんの足許に擦り寄った。
気付いたガヤさんが僕を胸の高さまで抱き上げてくれるから、そこからヨコオさんのほうへとお身体を乗り出す。


緊張しないで〜!!ヨシヨシ、良い子良い子〜。


そう念じながら、ヨコオさんの頭を前足でナデナデ〜!!
だってナデナデは落ち着くし、気持ちいいもんね?


『ぅええ!?』
『わははっ!辛気臭いから早く言えって渉の頭かき混ぜてるわ〜っ。』
『頭にお手してんのかな?』

あら?違う違う〜っ!ナデナデだもん!!

『ド、ドンブリ??怒ってんにょ?!』

むぅ…わんこの足じゃ伝わりませんか。ではやっぱりわんこはわんこらしく…。

思いっきりお身体をガヤさんの腕から乗り出し、ヨコオさんのお肩にお手手を置いて〜…焦ってるお顔をぺろぺろぺろぺろ〜っ!!

『あ、舐めた!』
『……ドンブリ…。』

『………頑張れって言ってんだ。』

キタヤマさんの呟きにゆらゆらしっぽを振ってみせる。

そぉなの。《頑張れ》なの。

誰も通訳しなくても伝わるお言葉。
でもそれは思いやるお心と関係と想像力がなければ分かんないね。わんこのお気持ちみたいに。

ちゃんと伝えなきゃ伝わらないお言葉。
ひとはお言葉を上手く使うことで、形のないお気持ちを表せるんだもの。スゴイねぇ!

さ、頑張って!ヨコオさん!!


ヨコオさんはじっと僕のお顔を見つめていた。
そしてそのまま何故か僕のお顔に向かって話し出した。

『…ありあと、ドンブリ。
あの…俺なりにどちらも大切にしたい。店のこともみんなと生きることも。
さっき言ったのは、俺に出来る範囲以上のことは無視したいってことじゃなくて…え〜と、今出来る範囲のことをきっちりこなせるかどうかって話なんだよにゃ。』

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作者名:みあん | 作成日時:2023年1月23日 0時

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