ひとくふう荘14 (ページ10)

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あら？タマさん…リュウさんへの怯えが消えてる？
ニコニコ笑いながらこおひいを２つのこっぷに注いでます。
リュウさんはそふぁに足を組んで腰掛けたまま、何も言わずにタマさんが差し出したこおひいを受け取った。

『いつの間にか終わっててびっくりした。畑行ってたの？』

『ああ、お前にも言わなあかんとは思てんやけど、明るいうちやないと見えへんくなるさかい。もう大丈夫なんか？』
『大丈夫。頭打ったからたんこぶできてるくらい。明日また教えて？』
『そやな…宮田くんは今龍が表か？』
『そう。…ね？』

リュウさんが頷くと、お父さんはご自分で車椅子の向きを変えてリュウさんに近付いた。

『こないだはゆっくり話でけへんかったけど、ドンブリも助けてもろたんやってな。裕太とドンブリ助けてもろておおきにありがとうございました。またすけたってな？
…あんさんも宮田くんとして生きてきたんやから今更言うのもおかしいか知らんが……俺な、宮田くんがおってくれるさかい裕太に《たま護り》継いでもらいたかってん。』

『……俺がいるから？あんた、いつから俊哉の中に俺がいると…。』

ミヤタさんが訝しげにお父さんを見る。

『みんなが子どもの頃には感じてたわ。せやけど、表に記憶が出てきて自分の意思で話すやら動けるのは知らんかった。ましてや霊獣として結界張ったり眷属呼べるなんてなぁ。
記憶はあくまで記憶、裕太の友だちにそんな記憶が集まるのは《たま》に引き寄せられるからやと思て…放っておいた。』

お父さんがそこでミヤタさんのお顔を覗き込んで笑った。

『俺が裕太なら任せられると思たんはな、宮田くんが絶対に裕太から離れることはないと思たからやねん。
太輔にも横尾くんや北山くんがおるけど、太輔は１人で抱え込んでまうことがあるし。

でも、裕太は宮田くんとなら全てを分かち合える。

全て分かち合う覚悟で寄り添って生きてくれる人がいるなら《たま護り》なんて始終気を張らなあかん仕事も前向いて取り組めるやろ？
裕太と宮田くんが分かち合えば、仲間の５人も協力しやすくなるし。』

『全てを…。』

お父さんのお顔からお目目を離さずにミヤタさんが呟くと、じっと聞いていたタマさんがそうっとミヤタさんの隣に座っておしりをくっつけてきた。

『せやし、あんさんは…龍はんは周りに危ない目遭わすくらいなら、いざとなれば１人で背負って《たま》を守りゃええと覚悟してんやろけどな、宮田くんである以上それはせんとってな？』