3 ページ19
さて、駐車場の周りで僕はミヤタさんとお散歩しながら外で待つ。
タマさんは1人で大きな建物の中へ手続きしてくるって入っていった。
……ああぁぁぁっ!待ちきれないよう!!
やがて、タマさんだけがまた出てきて僕たちに手招き。
ミヤタさんと小走りで入口まで行くと、タマさんはマスク越しでも分かるくらい寂しいお顔で僕の頭をナデナデする。
『…あのね、わんちゃんも触っちゃいけないんだって。今から特別にリハビリの先生が外に連れてきてくれるけど、少し離れてて下さいって。』
『そうなんだ…セラピードッグとか動物って触ったほうがいいんだよね?』
『まあ、ご時世だから……施設もクラスター出したくないもんね。ちょっとした可能性も潰しておかなきゃ。動物も罹ってることあるかもしれないし。直接犬と会わせてくれるだけでも、かなり頑張ってくれたほうかも。』
え?……………触れないの??
僕、お父さんとくっついちゃいけないの?
お父さんのお手手でナデナデしてもらえないの?
ほっぺムニュムニュしてもらえないの?
優しく抱っこしてもらえないの……??
タマさんを真っ直ぐ見つめていると、タマさんは僕を抱き上げてくれた。
『お前なら、ちょっとくらい離れててもじいちゃんの匂い分かるもんね?じいちゃんに元気な姿見せてあげてね??じいちゃん、ドンブリにめっちゃ会いたがってんだから!』
ミヤタさんも、タマさんに抱っこされてる僕の背中をムニムニしてくれる。
『…ん。そうだよね。ドンブリ見ただけでもおじいさん、元気になるって!同じ場所で同じ空気を吸うんだからさ。』
……うん。そうだよね?触れなくても、ナマのお声聞けるし、ナマの匂い嗅げるもんね…。
僕たちがまた駐車場へ出て、しばらくするとカラカラ音が聞こえた。
この音は車椅子の音!お父さんだっ!
おっきな身体の男の人が、車椅子を押して建物から出てきたよ?
車椅子には……マスクしてるけど分かる。お父さん!
ちょっと痩せたかなぁ。あれ?頭も髪の毛が少なくなったんじゃない?
匂いはお父さんだけど、前に会った時よりも元気がなくなってない??
タマさんの車が1つ入るくらいの距離で、僕たちは向かい合った。
『じいちゃん、久しぶり〜っ!』
『お久しぶりです〜、宮田です〜っ!』
タマさんとミヤタさんは、さっきと違い、とても明るい声でお父さんに話し掛ける。
『おう…久しぶりぃ。宮田くんも来てくれたんや。すまんね〜。』
お父さんの声だ!
80人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みあん | 作成日時:2021年10月3日 15時