三毛縞斑『読めない男』(砂糖)リク ページ32
ぱずー様のリクエストより三毛縞斑さんです。
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まだ人がほとんどいない廊下。窓から入った暖かい風がふわりと頬をなでた。清掃員さんが窓を開けたのだろう。
「⋯もう春だもんなぁ」
藤祭が終わり少し落ち着いたのだが、もうすぐ学院祭だ。
姿勢を正し気を引き締めて前を向こうとした瞬間__強い風が吹き、持っていた紙が数枚飛んでいってしまった。足元に落ちた紙から拾おうとしゃがむと私に影が落ちた。
「おはようございまあああす☆朝早くからお仕事かあ?Aさん」
「まっ、斑さん!おはようございます」
予想外のことに心臓が跳ね上がる。思わず書類を持っている手に力が入った。
「これで全部かあ?」
「ありがとうございます⋯!」
「うんうん、どういたしまして!Aさんはちゃあんとお礼の言えるいい子だなあ!」
「そ、そんなことないですよ」
へへ、と笑うと目の前の彼が優しく笑った。
「こんなかわいくていい子は連れて行っちゃいたくなるなあ♪」
思わず見上げた彼はニコニコと笑っていて、さっきのものに深い意味は無いのは一目瞭然。
それでも心の中で斑さんの言葉を繰り返し舞い上がってしまい、嬉しいとか恥ずかしいとかの感情を認識するよりも先に「連れていってください」と声が出た。
彼が目を見開いて固まったので自分の発言の恥ずかしさに気づき、訂正しようと言葉を探すも混乱していて何も口から出てこない。
どんどん顔が熱くなり始めて見つめた緑の瞳はゆっくりと細められた。あれ、こんなに大人っぽい笑みを浮かべる人だっけ。
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「じゃあ連れ去ってしまおうか」
「⋯⋯⋯⋯へ、」
ドラマの台詞のような言葉と共に差し伸べられた大きな手に何も言えなくなっていると、ぱっと両手を上げていつもみたいに楽しく笑う。
「なあんてな!ははは、冗談だ!」
「⋯え、斑さん、」
「ほらほら、まだ仕事があるんだろう?早く行った方がいいんじゃないかあ?」
「あっ、敬人先輩待たせてるんでした⋯!ごめんなさい、失礼します!」
ちゃんと聞きただしたいが、敬人先輩に説教されるなんて二度とご免だ。後ろ髪を引かれる思いでその場を去る。
あの言動の意味はなんなんだろうか。いや、意味はあるのか?その真意はきっと彼にしかわからない。
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姫宮桃李『天使の雪』(涙少なめ)→←椚章臣『好きなのは先生より』(砂糖)
ラッキーカラー
あずきいろ
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理音(プロフ) - ☆アスカ☆さん» こんばんは!お返事遅れて申し訳ありません。了解しました!遅くなるとは思いますがそれでも良ければ書かせていただきます、ありがとうございます。 (2019年11月20日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
☆アスカ☆(プロフ) - こんばんは(^-^)/リクエストします。レオ君相手で内容はおまかせで涙多めと砂糖多めの二種類お願いしますm(._.)m (2019年11月12日 19時) (レス) id: bf7dd3bfe3 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - ヒナコさん» ありがとうございます!!実はコメント頂いた日にヒナコさんの有り難い言葉を見まして、天満光くんのお話を書きました。大好きだとずっと読んでると言ってくださり、そして長らく更新していなかったにもかかわらずコメントしてくださりありがとうございます! (2018年12月14日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 今でもこの短編集大好きでずっと読んでます! (2018年12月9日 16時) (レス) id: 2c23b98d04 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - イカさん» えええめちゃくちゃ嬉しいです!!ありがとうございます!!!書きたいなと思っているキャラがいるのですがその人のストーリーをあまり読んでいないのでとても遅くなると思います。あまりに遅くなる場合は他のキャラで書きますので気長にお待ちいただければ嬉しいです! (2018年5月31日 18時) (レス) id: d0426cb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理音 | 作成日時:2016年10月30日 21時